Dr.ちゅり男のインデックス投資 

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外国税額控除とETF運用会社の倒産リスクについての正しい理解

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おはようございます。

当ブログの読者から以下のご質問をいただきました(長文なので一部抜粋です)。  

 

今回お尋ねしたいのは外国税額控除の対策です。  

外国税額控除ですが、これに上限がある事を知りました。

所得が高い今であれば気にする事もないでしょう。

毎年数十万円の配当を受け取るだけであれば外国税額は数万円でしょうから、年金と貯金だけで生活するようになっていたとしても、外国税額控除の住民税や過去3年前の繰越を使う事で何とかなると思われます。  

しかし長期療養、住宅の住み替えやリフォーム等で大金が必要となった時はVT、VTIを数百万〜数千万円規模で売却するかもしれません。

そうなると外国税額が数十万円に達します。

もし年金くらいしか収入がなければ外国税額控除では取り返せず、eMAXIS Slimシリーズの投資信託にトータルリターンが劣る可能性があります。  

 

その対策としては次の事を考えました。

1、VT、VTIは「余程の事がない限り売却しない資産」として位置付け、「売却する可能性がある資産」に備える分としてeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の積立を開始する。  

その分VTとVTIの積立額は減らさざるを得ませんし、将来期待できる配当金も減ります。  

また、「余程の事がない限り売却しない資産」「売却する可能性がある資産」がそれぞれいくらになるのかもわかりませんので投資額が決めづらいです。

やるすれば適当に「半分ずつ」でしょうか。

 

2、外国税額控除に余裕がある今の内にVT、VTIを売却し、ドルを円に換えてeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、eMAXIS Slim S&P500に買い換える。  

これを行うと折角積み上がった含み益から税金を引かれてしまいもったいない事、今後もeMAXIS Slimシリーズが永続する保証がない事から、あまりやりたくありません。  

確定申告の外国税額控除の申告の手間は減りますが、おそらく確定申告は今後も行うでしょうから労力は変わりません。

 

3、損をしても仕方ないと諦め、従来通りVT、VTIのみ積み立てる。  

これでも良いのでしょうけど、トータルリターンはeMAXIS Slimシリーズに劣る可能性があります。ドルに換える手間をかけた割には。  

 

1、2を考えたのは、投資資産の大半をバンガードに集中させる事のリスクは意外と高いのではないか、と考えたせいもあります。

「カントリーリスク」「セクターリスク」「商品リスク」「為替リスク」についてはよく語られますが、運用会社、販売会社を一つに絞る事によるリスクは語られません。

このリスクを無視して良いのかどうか疑問に感じました。  

VT、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は似たような商品でありますが、バンガード と三菱UFJ国際投信の二社に分散させる事で運用会社のリスクを少しは軽減できるのではないかとも考えました。  

シンプルな運用が好みですので保有銘柄は増やしたくありませんけれども。  

ちゅり男先生でしたらどのように対策を取りますでしょうか?

教えていただけますと幸いです。  

お忙しい中恐縮ですがよろしくお願いいたします。

 

ご質問ありがとうございます。

外国税10%は配当金にかかりますが、売却益には日本国内の20.315%の税金しかかかりませんので、VTやVTIを売却すると多額の外国税を支払う必要があるというのは勘違いですね。

よって、特に心配せずVTやVTIを愚直に積み上げるのがよいでしょう。

 

外国税額控除とETF運用会社の倒産リスクについての正しい理解

結論から申し上げますと以下の通りです。

1. 外国税10%は配当金にかかりますが、売却益には日本国内の20.315%しかかかりません

2. 何も考えずにこのままVTとVTIを積み上げればOKです

3. バンガードと三菱UFJ国際投信の2社に分散させる必要はありません

以下1つ1つ掘り下げてみていきます。

 

1. 外国税は配当金のみにかかり、売却益にはかからない

おそらく勘違いされているのだと思いますが、外国税の10%は配当金にのみかかるものであり、売却益にはかかりません。

つまり、VTやVTIなどの海外ETFだろうが、楽天VTIやeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のような投資信託であろうが、売却益にかかるのは国内税の20.315%だけです。

詳細は以下のマネックス証券のQ&Aを参照ください。

 

faq.monex.co.jp

 

よって、VTやVTIの売却時に外国税について心配する必要はありません。

配当金にかかる外国税だけを毎年コツコツ外国税額控除で取り返すだけということになります。

その手間さえ問題にならなければ、海外ETFと投資信託でどちらで有利不利というのはありません。

 

2. VTとVTIを愚直に積み立て続けるのが最適解

上記を踏まえますと、せっかくここまで続けてきたVTやVTIを売却するのは税効率を考えても下策であることが分かります。

余計なことは何も考えずに、このままVTとVTIを積み立て続けてください。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も大変優れた商品ではありますが、ご質問者様の状況であれば乗り換えも新規購入も不要です。

唯一投資するチャンスがあるとすれば、それはNISAやiDeCoなどの非課税口座の範囲内でしょう。

インデックス投資において非課税のメリットはやはり大きいです。

そして、つみたてNISAやiDeCoでは米国ETFへの直接投資はできませんから、こういった場面ではeMAXIS Slimシリーズを活用しましょう。 

 

3. ETF運用会社の倒産リスクは低いです

バンガードやブラックロックなどのETF運用会社の倒産リスクについては、以前に以下の記事を書いていますので、もしよろしければ参考にしてください。

 

www.churio807.com

 

私は、こういった問題は自分の力のはるか及ばない遠くに存在する問題であり、細かく考えても意味がないと思っています。

もちろん、ETF運用会社が倒産するリスクというのはゼロではありませんが、万が一の時も株式自体はDTC (The Depository Trust Company)に別管理されており、顧客の資産は保護されているとお考えください。

これは当然といえば当然で、証券会社の経営状態によって顧客の資産が左右されてはならないからです。

世の中の不安の90%以上は実際に起こらないと言われていますが、ETF運用会社の倒産というのはその中でも最も心配しても仕方がない不安の1つと言えるでしょう。

 

まとめ

米国株投資において、外国税の10%は配当金にかかりますが売却益にはかかりません。

ETF運用会社の倒産リスクというのは考えても意味のない問題の1つです。少なくとも私はバンガード社に全幅の信頼を置いています。

 

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ジェイエルコリンズ氏の『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』です。

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