おはようございます。
本日は『働き方の損益分岐点』という本のレビューです。
医師の強みは、医師免許自体の参入障壁が比較的高く、就職した時点で「土台」が築かれているため若い頃から給与水準が高い点にあります。
また、医局に縛られなければ独力で自由に働き方を選ぶことができるため、『働き方の損益分岐点』で紹介されているようなコスパの高い生き方を比較的選択しやすいです。
実際にこの道を突き進むかどうかは別として、一読して損はない書籍かと思います。
【働き方の損益分岐点】消耗しないコスパの高い生き方を学べる一冊
本日は、『働き方の損益分岐点』の内容を踏まえたうえで、我々医師の立場でどのように応用できるかを考察してみたいと思います。
もちろん、医師以外の方でも自分の働き方を見つめ直す意味でおすすめの一冊です。
医師免許取得までにかかる時間と労力が給与に反映されている
医師免許自体の参入障壁が高く、医師免許を取得するまでに十分なお金や時間が投じられているため、それに見合った対価が得られるわけです。
著者の言葉を借りれば、医師免許を取得した時点で他の新卒のサラリーマンよりも高い「土台」がすでに築かれているとも言えます。
そして、今現在の日本では、医師免許さえ取得していれば能力に関わらず医業を行うことはできます。
世の中には様々な専門医資格が溢れていますが、医師免許や各科専門医ほどには給与水準に直結しないのが現実です。
逆に、専門医を取りすぎることでその資格を維持するのにかかる時間や労力が増しますので、トータルでみれば損をしている可能性すらあります。
もちろん、各専門医を持つこと自体には価値がありますが、コスパという観点だけで論じるとこのような結論になります。
専門医資格と臨床スキルを身につけたら「使用価値」が高まる場所に身を置く
やりがいという点を除けば、最低限の専門医資格と該当科での臨床スキルを身に着けたら、あとはその能力を最大限に評価してもらえる場所に身を置くのが最もコスパは高いでしょう。
ただし、そのような病院は最先端の医療設備を備える大規模病院ではなく、小〜中規模病院であることが多いですから「土台」部分をさらに高めるのは難しいですね。
どんどんスキルアップをして頂点を目指すというよりは、最低限の臨床スキルだけを習得して、後はその能力を買ってくれる最適な場所を探すイメージです。
内科医であれば、この方法が成功するか否かはコミュニケーションスキルの高さにかなり依存すると思っています。
コミュニケーションスキルというのは、患者やその家族は当然として、コメディカルや事務を含めた院内スタッフとの協調性も含めます。
臨床スキル自体に他医師と差別化できる点がないことを考えますと、しっかりと病院のために売上を残し、他の人たちとトラブルを起こさず円滑に診療を進められるかが評価されると思います。
ただし、このメソッドの問題は、医師としてのやりがいを度外視している点と、医師免許という土台が盤石であることにかなりの部分を依存していますので、その前提が崩れると脆弱であることですね。
まとめ
究極に割り切れば、各科専門医を取得し、それまでに身に着けた基本的な臨床スキルを活用して、そのスキルを最大限に評価してもらえる場所に身をおくのが最もコスパが高いです。
内科医であれば、非常勤で外来バイトを積み上げるのが最もコスパは高いでしょう。
ただし、そこまで割り切った生き方は医師としてつまらない気もしますので難しいところですね。
私自身が医師ですので、今回は医師目線で書籍レビューをしましたが、他職種の方も今後の働き方を考えるうえで参考になる点が多い書籍だと思います。
【おすすめ本】
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今後も年金制度は刻一刻とかわるでしょうが、ベース部分を知らなければどの部分が変わったか理解できません。
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こんな記事も書いています。
『人生100年時代の年金戦略』の書評です。
人口減少社会においては、都市部の好立地の物件を除き、資産価値を長期に渡って維持することは困難です。
働き方を考えるうえで、自分が何に大きな価値を見いだせるのかを常に考えることが重要です。