おはようございます。
本日は『超加速経済アフリカ』という本の書評です。
この本、まさにアフリカ版ファクトフルネスといってよい一冊で、アフリカの最新状況に関して様々なデータを元に紹介されています。
最近読んだ本の中では圧倒的に面白い一冊でした。
著者の椿進さん、本当に面白い本を書いていただき誠にありがとうございます。
最強に面白い一冊『超加速経済アフリカ』を紹介します
書籍の中で、個人的に興味深いと感じた点について3つ取り上げます。
1. アフリカでは先端技術が日本よりも発達している
2. チャージした通話料が通貨と同じように使える「M-PESA」決済
3. アフリカの中位年齢は19.7歳、日本は48.4歳
多少のネタバレを含むことをご了承ください。
1. アフリカでは先端技術が日本よりも発達している
アフリカでは既得権益者が少ないため、イノベーションのスピードがものすごく速いようです。
アフリカならではのニーズを正確に把握し、現地の方でも簡単にアクセス可能なサービスを提供すれば、あっという間に爆発する可能性を秘めています。
日本が急速に経済発展した1960〜1970年代と異なり、すでに先進諸国で発展したテクノロジーを簡単に取り込めるのも大きなメリットですね。
本書では、ドローンで血液製剤を高速輸送する実例や、民間での救急車の配車プラットフォームなど、日本では考えられないような面白いビジネスモデルが紹介されています。
アフリカでは公的な救急車サービスの仕組みがなく、日本で言うところの119番にかけても救急車が到着するまでに2〜3時間かかることがあります。
また、救急車を所有している病院があっても、そこに直接電話をして交渉しなければ出動してくれないようです。
そこで、ケニアではナイロビなどの都市部を中心に、各病院が保有している救急車をネットワーク化し、
救急コールがあった時に現場に近い救急車を配車したり、適切な搬送先病院を選定するサービスを「Flare」という民間企業が実施しています。
まさにUberの救急車版というべきサービスで、アフリカの医療事情から生まれたニーズをうまくビジネス化した一例だと思います。
2. チャージした通話料が通貨と同じように使える「M-PESA」決済
主にケニアを中心に普及しているのが、ケニアの最大手通信キャリアサファリコムが運営している「M-PESA」という決済サービスです。
日本ではモバイルマネーの普及率がなかなか伸びませんが、ケニアでは成人の9割以上がモバイルマネーを利用しています。
アフリカでは、携帯電話のほとんどがプリペイド式だそうです。
というのも、銀行口座やクレジットカードを保有している人や、住所不定者もまだまだ多く、後払い方式では料金が回収できずビジネスとして成立しないためです。
よって、手持ちの携帯電話にプリペイド方式で通話料をチャージしてはじめて通話が可能となります。
ここで面白いのは、チャージした通話料は他の人に送金可能で、現金にも払い戻し可能という点です。
「チャージしたお金は自分のものだから現金引き出しが可能で当然」というのがケニアでの考え方のようですが、
日本では資金決済法などの法的規制が強固なためこれができません。
チャージしたお金を現金に戻すことができず、必ず使い切らなければならないというのは思いの外プレッシャーが高く、使い勝手が悪いですね。
一方、「M-PESA」は銀行口座がなくても開設可能で、携帯電話端末一台あれば誰でもすぐに利用でき、送金、決済、預金、ローンなどの各種サービスに対応しているとのことです。
3. アフリカの中位年齢は19.7歳、日本は48.4歳
アフリカの人口動態を紐解きますと、その年齢の圧倒的な若さに驚かされます。
なんと、中位年齢が日本は48.4歳であるのに対して、アフリカ全土では19.7歳だそうです。
近年、医療・公衆衛生環境が整って乳幼児死亡率が急速に低下し、皆が飢えないだけの食料が安定的に確保できるようになったことが大きな要因です。
6〜7人子供を産んでも成人できるのは2〜3人という現状から、子供が生まれればかなりの確率で成人まで生きられるようになり、急速な人口爆発が起きています。
急速な人口爆発というのは局地レベルでは必ずしも良いアウトカムにつながるとは限りませんが、
国・地域レベルでの経済発展のポテンシャルを考えた時には、大きな魅力であるのは間違いありません。
株や為替の変動を正確に読むことはできませんが、人口動態というのはほぼ確実に予測される未来だからです。
このように、アフリカにポテンシャルがあるのは間違いないため、後は優れたリーダーが国を適切な方向に導くことができるか否かが大きな要因を占めるでしょう。
政治的な要因に左右されやすいという弱点はあるものの、まさにラストフロンティアというべき魅力的な市場ですね。
まとめ
『超加速経済アフリカ』はアフリカの最新事情を知るために最適な一冊です。
このように、アフリカ大陸はものすごく魅力的な市場ですが、日本から気軽にアクセスできる金融商品がないのが残念ですね。
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