おはようございます。
都会に住んでいると、日頃街を歩いているだけで数多くの看板を無意識に目にしています。
一日100枚以上見ているのではないでしょうか。
ところが、それらの情報の大半は後になって思い出すことができません。
私は、
1) 人間はその時に興味を持っている対象の情報しか効率よく覚えられない
2) 看板にメッセージがない、もしくはメッセージが多すぎる
ことが大きな要因だと考えています。
メッセージ性のない看板とメッセージが多すぎる看板は無意味である
結論から書きます。
多くの人が一瞬しか眺めない看板で、興味ゼロの人を突き動かすのは至難の業です。
わずかでもその対象に興味を持ち始めている人に、次なるアクションを促すことができれば成功だと思います。
全員に興味をもってもらうことを目的とせず、あえて「ターゲットと目的を絞って強いメッセージ性を打ち出す」ことが最も重要です。
人間はその時興味を持っている対象の情報しか頭に入ってこない
人間は、その時興味を持っている対象の情報しか効率よく覚えることができません。
投資を例に挙げてみます。
自分がどんなに投資が素晴らしいものだと思っていても、相手が投資にこれっぽっちも興味を持っていなければその熱意が伝わる可能性は低いです。
下手すれば「押し付けられた」と思われることもあるでしょう。
逆に、すでに投資を始めていて、より良い投資法を追求しようとしている人にとっては、「つみたてNISA」や「iDeCo」というキーワードがすっと頭に入ってきます。
投資にはそれ相応のリスクもつきものですから、私は日常生活で無理に人に投資を勧めることはありません。
自発的に興味を持った人がステップアップをする手助けをする方がはるかに効率がよいと思っています。
よって、投資に興味を持った人に対してのアドバイスは快く引き受けさせていただいています。
明確なメッセージ性のない看板は意外に多い
日頃、街中を歩いて眺めていますと、「明確なメッセージ性がない」看板というのは思いの外多いです。
看板を見ても何が言いたいのかサッパリ伝わってきません。
もちろん、隅々まで読みこめば理解できるのかもしれませんが、興味のない看板を初めから隅々まで読み込む人はいません。
よって、ひと目で情報が読み取れない看板は無価値といえます。
例えば、投資の世界においては「バンガード社=手数料が安いETF」というのは誰にでも分かりやすく明確なメッセージです。
(画像はバンガード・インベストメンツ・ジャパンのHPから引用)
投資に少しでも興味がある人ならば、この看板のように一言で「低コストETFの決定版」と言われれば、「おっ、どんな商品だ」と食いつく可能性が高いでしょう。
メッセージ性の多すぎる看板は逆効果である
もう一つ多いのが、「一つの看板にあれもこれも情報を詰め込みすぎている」パターンです。
看板の役割はいかにひと目で注目を集めるかです。
それ以上の情報を知りたければ、看板に頼るのではなくネット検索で調べればよいのです。
看板を見た人に、スマホ検索など次なる行動を促せるかが勝負の分かれ道だと思います。
逆に、初めから興味のある人は看板など見るまでもなく、自らインターネットで検索してより詳細な情報を集めようとします。
よって、看板には「one message」が限界です。
不必要な情報までゴチャゴチャ提示している看板は存在価値がありません。
最近の投資信託ではeMAXIS Slimシリーズはメッセージ性が明確
投資信託の中では、eMAXIS Slimシリーズはメッセージ性が明確ですね。
(画像はeMAXIS SlimのHPから引用)
次々と手数料の安い商品を打ち出しており、投資信託界に絶大なインパクトを与えました。
その中でも、「他社の動きを注視しつつ、迅速に手数料の値下げに応じる」ことを明言しているのが大きいです。
インデックスファンドは、同じ指数に連動する商品であれば理論上は大きなリターンの差は生まれません。
よって、他の金融商品以上にコストに対する顧客の目が厳しくなります。
そういった顧客に対して、「事実上の手数料最安値保証」というのは大きな効果があります。
もちろん、最安とは言っても2番手・3番手との手数料の差はごくわずかなものかもしれません。
投資信託の「その他のコスト」を上乗せした実質コストにおいては、他の商品がeMAXIS Slimシリーズを上回ることもありえます。
しかし、強烈なメッセージ性を打ち出して顧客を取り込んでいるeMAXIS Slimシリーズのマーケティング力はさすがだと思います。
まとめ
明確なメッセージのない看板と、メッセージが多すぎる看板は無意味です。
投資信託界も手数料競争は限界に近い所まで来ており、どのようなメッセージ性を持たせて顧客に売り込むか、各社の創意工夫が求められます。
こんな記事も書いています。
投資信託界では、楽天バンガードファンドとeMAXIS Slimがメッセージ性が明確で売れる気がします。
VTは世界市場全体をまるごと買い付けるという分かりやすさが日本の投資家に人気がある理由だと思います。
たとえ0.01%でも手数料を下げようというバンガード社の企業努力には頭が下がります。