おはようございます。
今週号の『週刊東洋経済』は「医療費のムダ」特集でした。
その中の「民間医療保険はやはりいらない」という内容の記事に注目しました。
これまで私は、単に、
1) 一定以上の資産を保有している人は、1日5,000円や10,000円の保険金をもらっても意味がない
2) 保険とは、「発生する確率は非常に低いが、万が一発生したら自力で対応しきれない事態に対応する」ために加入するもの
ととらえ、その上で民間の医療保険は自分には不要と考えていました。
今後は、「入院しても保険金の支払い要件を満たさない可能性がある」ようですので、注意が必要です。
民間の医療保険では介護医療院に入院しても保険金が支払われない
要点は下記です。
1) 医療機能の分化促進の流れによって、「慢性期」病床の中に介護医療院が創設された
2) 介護医療院は「医療法に定める病院等への入院」に該当しないため、民間の医療保険の保険金支払い要件を満たさない
せっかく民間の医療保険に加入していても、最も在院が長くなるであろう「慢性期」病床の入院で支払われないのでは意味がありませんね。
数十年後に時代遅れになる終身型保険には加入してはならない
保険に加入する時の注意点は、
「過去のデータを元に設計された商品が、数十年後には時代遅れになっている可能性があること」
です。
保険はいったん加入すると放置してしまうことが多く、いざ必要になった時には自分が何の保険に加入しており、どのような条件を満たせばどの程度の補償を受けられるか忘れがちです。
注意した方がよいでしょう。
医療機能の分化が今後も促進する流れ
国が主導となり医療機能の分化が今後も進んでいく流れなのは間違いありません。
入院病床に関しては、病床機能を
1) 高度急性期
2) 急性期
3) 回復期
4) 慢性期
の4つに分け、患者の状態に応じた適切な医療を効率的に施す方針が定められています。
この中で、「慢性期」においては、長期にわたり医療と介護が必要な高齢者に対応するため、新たに介護医療院が創設されました。
医学的管理の下で介護や機能訓練を行い、自立した暮らしを営めるようにすることが基本方針で、介護保険法を設置根拠とする施設です。
病院へ診療所から介護医療院に転換した場合、転換前の名称を使用できる
病院へ診療所から介護医療院に転換した場合、転換前の名称をそのまま使用できる点に注意が必要です。
つまり、◯◯病院という名称の「介護医療院」に入院した場合、「医療法に定める病院などへの入院」に該当しません。
それによって、民間の医療保険の支払い要件に該当しない可能性があります。
入院日数がどんどん短くなっている高度急性期や急性期病院の入院だけ民間の医療保険が適応されても、「入院1日◯◯円」型の保険では保険金の金額がたかが知れていますので効果が低くなりますね。
保険は制度や社会情勢の変化に柔軟に対応できるよう加入したい
以上のことを踏まえますと、保険は制度や社会情勢の変化に柔軟に対応できるように加入する必要があります。
特に、医療技術は日進月歩で、少子高齢化社会の到来によって国の制度も刻一刻と変化しています。
「定期」で「掛け捨て」で必要最小限だけ加入をするか、一定以上の資産がある方はいっそのこと民間の医療保険には加入しないという選択肢が浮上しますね。
若いうちに終身型に加入した方が一見割安に見えるのですが、自分の加入している保険が陳腐化して役立たずになるリスクがあることも知っておく必要がありそうです。
まとめ
慢性期病床の一つとして介護医療院が創設されましたが、これは介護保険法を設置根拠とする施設であり、「医療法に定める病院等への入院」に該当しない可能性があります。
入院したのに保険金が支払われなければ泣きたくなりますね。
このように、保険は「支払い要件」を満たさなければ全くの無意味になってしまいますので、必要最小限にとどめる必要があるでしょう。
こんな記事も書いています。
民間の医療保険に加入するよりも、24時間制ジムに加入して筋トレと有酸素運動に励んだ方が100倍有益だと思います。
介護保険制度は年々改正されていますが、その大半は「改悪」です。
金融商品はシンプル・イズ・ベストです。保険には保険としての機能だけを求めるべきだと思います。