おはようございます。
当ブログの読者の方から、下記のご質問を頂戴しましたので回答させていただきます。
ちゅり男先生いつも愛読させて頂いています。
先生はドル建て資産=米国ETFもしくは個別株を持つことの重要性を説いていらっしゃいますが、あくまで「ドル」で持っていることの理由は何かあるのでしょうか?
つまり円建てでも100%海外株を投資先にしている投信ならば、投資先が同じならばリスクもリターンも(手数料などの差を除き)同じであると思うのですが。
例えばVTIと楽天VTIはほぼ同じリスクリターンであると思いますが、「ドルで表示されるナマのVTI」で持つのは慣れていらっしゃるからだけでしょうか?
それとも予期せぬ国家や金融機関のトラブル?等にドル建てで持っている方が安全とお考えだからでしょうか。
もしくは単にドル建てでの損得を自分の中で考えるのに都合が良いからでしょうか。
もし宜しければご教示頂けますと幸いです。
ご質問の要点は、
1) ドル建て資産を保有するメリットは理解できるが、優れた投資信託が増えている中、なぜあえて本家の海外ETFに投資をしているのか
2) 予期せぬ国家のトラブルに対してドル建てで保有している方が安全なのか
という2点ですね。
投資信託ではなくETFを購入する理由と日本国家破綻のシミュレーションについて
数年前からドル建てポートフォリオで運用しており円建てに戻す方が面倒くさい
私が投資を始めた頃はETFと投資信託のコスト差は歴然としたものでした。
数十万円規模ならばたいした差ではありませんが、数百万円以上の運用になると馬鹿にできない程度の差があったのです。
その当時からドル建てでポートフォリオを組んでいると、今さら円建てに戻す気がなくなります。
ドルで購入してドルで配当を受け取り、ドルで再投資をするという流れができあがっているからです。
あとは、ドル建てで評価した方がETFの純粋な成長率が評価しやすいという点も見逃せません。
円建てに直すとどうしても為替レートの影響を受けますので、純粋にその商品が伸びているかが評価しづらいのですね。
今から投資を始めるならば投資信託でもアリだと思います
しかし、今現在から新しく投資を始めるならば、投資信託でもよいと思います。
それくらい、ここ数年で投資信託には優れた商品がそろってきています。
ただし、投資信託よりもETFの方が商品選択の幅は広いです。
あとは、普段からドル建てでポートフォリオを組むことで、暴落時に米国の個別株投資に迅速にスイッチングすることが可能です。
私は、日本株はどちらかと言うと短〜中期の投資先として魅力的だと思っています。
バイ&ホールドするならばNYSE上場の超一流企業の株を仕入れた方がよいでしょう。
もちろん、平常時には高すぎて買えないので暴落時に仕入れるわけですが。
また、ETFは投資信託と比べてトラッキングエラーが小さいのが大きなメリットです。
私は投資信託のトラッキングエラーという見えないコストが嫌いだからです。
とはいえ、どれも絶対的なものではないですね。
ドル転の手間などを考えますと、投資信託でも十分な投資環境が整ったと言えそうです。
日本という国家破綻の可能性について検討してみる
なお、国家破綻のリスクは国内証券会社に外貨建て資産を保有していてもヘッジできないと思います。
国家破綻が現実的になった場合には、個人の保有する「資産」にも税金が課される可能性が高いです。
この場合は、銀行預金だけでなく、日本の証券会社に保有している外貨建て資産は資産税の対象となる可能性が高いです。
海外証券会社(現実的には米国)の口座にドル建て資産を保有するのは有効かもしれませんね。
もしくは、個人ではなく法人で資産を保有するのも有効でしょう。
日本国家を維持していくうえで、法人には個人ほどには重い税金が課されない可能性が高いです。
あとは海外不動産やゴールドなどの現物と仮想通貨ということになるでしょうね。
国家破綻と仮想通貨保有について
国家破綻が現実的になれば仮想通貨に資金が流入するでしょう。
仮想通貨の場合、Binanceなどの海外取引所に口座を開設することが容易ですので、海外取引所に資産を保有することは今すぐにでも可能です。
しかし、先日のコインチェックのように海外取引所自体がGOXする可能性はありますから別のリスクがありますね。
実際、ジンバブエではスーパーインフレで自国通貨(ジンバブエ・ドル)がほぼ無価値となり、2015年にジンバブエ・ドルは廃止されています。
当時のレートは300兆ドル≒1円ということですから、いかに破壊的なインフレが起きたか容易に理解できますね。
こういった国では、自国通貨の信頼性が低いため、ビットコインなどの仮想通貨が資金の逃避先となり価格が高騰します。
実際、ジンバブエでは2017年11月時点でビットコインの価格は150万円を超えたのです。
当時の日本のレートが約90万円でしたから、いかにジンバブエでビットコインが割高であったか分かります。
まぁしかし、ジンバブエでは国外への現金持ち出しに制限がありますので、アービトラージで儲けるのは不可能だったわけですが。。
日本でビットコインが「投機」と言われるのは法定通貨が強いから
日本では「ビットコインはボラティリティが大きく投機である」「ギャンブルだ」と言われることが多々あります。
しかし、これは裏返せば日本円がいかに安定している、強いかということですね。
ジンバブエでは、むしろジンバブエ・ドルを保有し続ける方が「投機」であったということです。
ジンバブエのように日本国家破綻が現実的になった場合には、今と逆の動きが起こるでしょう。
そういった意味でも、仮想通貨をポートフォリオのごく一部で保有するというのは面白いと思うんですよね。
もちろん、日本円が強いのでこのまま無価値になる可能性もあるわけですが。。
そのあたりを理解した上でやれば問題ないでしょう。
初めから「仮想通貨=悪」と決めつけるのはかえって自分の思考の幅を狭める気がします。
まとめ
日本国家破綻のリスクについて検討してみました。
日本の証券会社にドル建て資産を保有しても、日本国家の危機時には効果が低いと思いますね。
こんな記事も書いています。
これからは個人の信用・価値がモノを言う時代がやってくると思います。ブログ・SNSを有効活用して人とのつながりを増やしていきたいですね。
株式投資の世界に長く居続けることで、腰の強いポートフォリオが出来上がる可能性が高いです。成長していく国や地域に投資するという原則を守ることは必須ですが。
投資をするならば長い目で相場と付き合っていきたいものです。少々の暴落でロボアドバイザーを解約するようでは、ロボアドバイザーの開発者は報われないでしょう。