神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が資産形成や投資について日々思うところを語ります。

インデックス投資を長期継続するために株式リターンの源泉について理解する

スポンサーリンク

おはようございます。 

当ブログの読者の方から以下のご質問をいただきました。

ちゅりお先生

先生の記事からいつも学ばさせていただいています。

毎日大変勉強になる記事を書いていただき感謝です。

「複利」について教えていただきたくご連絡させていただきました。

本日の記事で、

「複利の力はプラス方向に毎年働くわけではなく、時に激しく上下に揺れながら・・・」

ということですが、そもそも私はインデックス投資において複利の力を実感できておりません。

漠然と、

・株価の上下:キャピタルゲインによるもの

・複利:インカムゲインによるもの

と私は思っております。

世界経済は株価が上下しながらも数十年に渡る長期スパンでみれば、

「人間の健全な欲」

によってプラスになるというのはようやくイメージできるようになってきたのですが、複利の力ってイメージがしにくいといつも感じております。

今回ご教示いただきたいのは次の2点です。

インデックスファンドから複利を得るメカニズムとしては、

「インデックスファンドが投資している株式会社から得た分配金であるインカムゲインをファンドが受け取り、その利益をファンドが再投資することによって生じる。」

という理解でよろしいでしょうか。

株式会社の業績が悪いとインカムゲインは減るでしょうが、業績が悪くても分配金を出す会社もあるでしょうから、ファンドの基準価格が下がっても常に複利の力は働いていると考えてよろしいでしょうか?

複利だけでなくファンドの行なっている役割や業務が今ひとつイメージできていないため、的を得ていないような質問になってしまいすみません。

ご教示いただけますとインデックスファンドでの世界投資を続けるモチベーションになると思いますので、

何卒よろしくお願いいたします。 

ご質問ありがとうございます。

まず初めに、複利というのは毎年の株式リターンの積み重ねによって発生するもので、インカムゲインのみを指すものではありません。

本日は、株式リターンの源泉と複利効果について検討します。

f:id:shinkei807:20180228194242j:plain

 

複利について理解するには株式リターンの源泉を知る必要がある

企業の収益が毎年一定ではないように、インデックス、つまり市場全体の成長率というのも毎年一定ではありません。

よって、複利の効果を実感するためには長い年月がかかります。

さて、複利について理解するためには株式リターンの源泉について理解する必要があります。

株式のリターンについて理解するためには、ジョン・C・ボーグル氏の『インデックス投資は勝者のゲーム』を一読することをおすすめします。

 

インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法

インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法

 

 

特に第2章を熟読すれば、株式のリターンについて理解を深めることが可能です。

著作権の問題で書籍内の図を載せることは難しいので、以下文章で説明しますが、少々分かりにくいかもしれません。

 

株式リターン=投資リターン(企業)+投機的リターン

株主の利益というのは企業の利益と一致しなければなりません。

ボーグル氏によれば、株式のリターンというものは投資リターンと投機リターンに分けられます。

「株式リターン=投資リターン(企業)+投機的リターン」

ということですね。

以下、投資リターンと投機的リターンの詳細を見ていきます。

 

投資リターンとは?

配当は株式リターンにとって重要なファクターではありますが、投資リターンをもたらすものは配当だけではありません。

投資リターンは、

1) 配当利回り

2) 利益成長率

の2つから成り立ちます。

ボーグル氏の書籍では主に米国市場について考察していますので、以下の数値は米国市場におけるものです。

米国市場における1900年〜2016年の10年毎の投資リターンを解析した結果では、1)の配当利回りは非常に安定しており、全期間においてプラスであり、おおむね年3〜7%の範囲におさまり、平均すると年4.0%でした。

2)の利益成長率に関しては配当よりも上下動が激しく、1930年代の世界大恐慌時のみマイナスリターンを示しています。

その他はどの10年をとってもプラスリターンで、通常は年4〜7%の範囲にあり、平均では年4.6%でした。

1)と2)の総和が投資リターンになりますが、投資リターンがマイナスとなったのは1930年代の1回だけで、それ以外の各10年は全てプラスリターンで、投資リターンは概して年8〜13%、平均で年9%となっています。

書籍内の実際の図表をご覧になれば一目瞭然です。

 

投機的リターンとは?

次に、投機的リターンとは株価のPER(株価収益率)の変化の度合いを指し、投資リターンと比べると上下動が大きいです。

投資家の期待値が高まり、株式市場の見通しが楽観的になればPERは過度に上昇し、投資家の恐怖心が強まれば株式市場の見通しは悲観的になり、PERは低下します。

投資家の感情というのは周期的に揺れ動きますので、株式は周期的に「割高」「割安」に振れますが、いずれ平均へ回帰していきます。

投資家心理を反映し、PERは10年スパン見た場合に各10年ごとに大きく増減し、短期的には株式リターンに大きな影響を与えます。

しかし、投機的リターン(PERの変動)の影響は短期で見ると非常に大きいですが、長期で見ればみるほどその影響は小さくなります。

ボーグル氏の分析によれば、1900年〜2016年の超長期でみれば、投機的リターンは米国企業がもたらした年間投資リターンにわずか0.5%を上乗せしたに過ぎません。

年平均9.5%という株式によるトータルリターンのうち、企業の成長がもたらしたもの(投資リターン)が9.0%で、投機的リターンは0.5%にすぎないということですね。

よって、短期的な投資家感情のぶれに動揺することなく、配当や利益成長率など企業の成長自体に目を向け、長期保有すれば勝てる確率が高いということです。

 

まとめ

複利の効果を生み出すのは毎年の株式リターンですが、株式リターンというのは投資リターンと投機的リターンに分けられます。

投資リターンは配当利回りと利益成長率から成り立ち、長期になればなるほど株式リターンに占める投資リターンの影響が増します。

投資家心理の変動によるPERの上下動は、時に「割高」「割安」局面を生み出しますが、超長期になるとその影響は投資リターンと比べて小さなものになります。

悩ましい点としては、我々は一世代だけでは100年も投資できませんので、ボーグル氏の説よりはPERの影響を受けやすいことでしょうか。

 

 

こんな記事も書いています。

市場の短期的な変動によって1ヶ月単位で見ると総資産額が大きく上下動することがありますが、上記の説によれば短期の値動きを気にする意味はあまりありません。

www.churio807.com

 

株式市場に参入するタイミングというのは、投資期間が短ければ短いほどリターンに大きな影響を与えます。

www.churio807.com

 

ボーグル氏の説を信じるのであれば、長期で見た時に安定して配当と利益成長率の成長が見込めるものを投資対象とするのが正解です。

www.churio807.com