おはようございます。
先週号の『週刊ダイヤモンド』で、「30歳男性の3人に1人が定年までに2型糖尿病を発症する」という内容の記事がありました。
私が想定していたよりも高い数字でしたので、非常に大きなインパクトを受けました。
なお、当ブログのメインテーマである長期投資のうえでも、健康管理は非常に重要です。
老後のために貯めておいたお金があるのに、そのお金を使う頃には自分の身体がボロボロというのでは泣くに泣けませんね。
30歳時点で健康な男性の3人に1人、女性の5人に1人が糖尿病を発症する!?
本研究の結論は、以下の通りです。
30歳時点で健康な会社員が、65歳までに2型糖尿病になる累積罹患率を計算したところ、男性が34.7%、女性が18.6%であった。
以下、細かく見ていきます。
研究対象者は?
本研究の対象者は、以下の通りです。
・関東、東海地方に本社を置く国内12企業と社員およそ10万人が参加する「J-ECOH研究」の参加者
・この研究では、糖尿病歴のない30〜59歳の男女53,828人(男性 46065人、女性7763人)のデータを前向きにフォローアップして解析している
企業勤めの人が対象ということで、男女の数にかなり差がありますが、数万人以上の日本人を対象とした研究ですので、その信頼性は高そうです。
2型糖尿病の定義は?
2型糖尿病の定義は、健康診断の結果で、
1) 過去1〜2ヶ月間の血糖状態を反映するHbA1cの値が6.5%以上
2) 空腹時血糖が126mg/dl以上
3) 随時血糖が200mg/dl以上
のいずれかを満たす者、もしくは、
「すでに糖尿病治療を受けている者」
としています。
追跡結果は?
2008年からの追跡期間中、男性3389人、女性248人が新たに2型糖尿病を発症しました。
30歳時点で健康な会社員が、65歳までに2型糖尿病になる累積罹患率を計算したところ、男性が34.7%、女性が18.6%でした。
つまり、男性の約3人に1人、女性の約5人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性が高いということになります。
健康な人であっても、男性では3分の1が糖尿病になることを考えますと、決して人ごとでは片付けられません。
糖尿病には、環境因子の他に遺伝因子も関与しますので、必ずしも生活習慣のみで発症が決まるわけではないことに注意が必要ですね。
BMIごとのリスクは?
2型糖尿病は生活習慣病の一種ですので、肥満が大きなリスク因子の1つです。
そこで、本研究では、BMIごとの2型糖尿病の発症率の差を検討しています。
その前に、BMIとは体格指数のことで、
「BMI=体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)」
で簡単に計算できます。
標準体重はBMIが22で、BMIが25〜30未満で肥満(1度)、30〜35未満は肥満(2度)とされます。
BMIごとの2型糖尿病の発症率を調べたところ、
BMI30以上の方が65歳までに2型糖尿病を発症する確率は、
・男性 77.3%
・女性 64.8%
BMIが25〜30未満の方が65歳までに2型糖尿病を発症する確率は、
・男性 49.1%
・女性 35.7%
ということが分かりました。
BMIが上がるにつれて、急速に2型糖尿病の発症率が高くなることがよく分かりますね。
BMI30以上の男性では、実に4人中3人以上が糖尿病になるということで、恐るべき数字です。
考察・今後の展望
研究者らは、「日本人の会社員は男女ともに糖尿病のリスクが高い」と結論づけています。
また、その要因として、
・座りっぱなし
・長時間労働の影響による食生活の乱れ
・慢性的な睡眠不足
などが挙げられます。
一部の会社では、糖尿病患者を対象とした血糖管理プログラムを提供しているようですが、発症を未然に防ぐ予防プログラムまでは手が回らないようです。
糖尿病を若くして発症しますと、その後数十年間に渡って治療を要することが多く、莫大な医療費がかかります。
また、その間に網膜症や腎症、神経障害の3大合併症や、心血管系の疾患などを発症する確率も高く、その治療費は膨大なものになります。
今後の日本の財政を考えますと、一次予防に力を入れて疾患を発症する人自体をへらす努力が必要ですが、糖尿病は一次予防の優先度が高い疾患の一つですね。
まとめ
30歳時点で健康な男性であっても、定年までに3人に1人が糖尿病を発症するというのは重いデータです。
せめて、生活習慣で改善できる部分は普段の努力によって改善していきたいと思います。
こんな記事も書いています。
日本人の健康寿命は男性が72歳、女性が74歳ですが、平均寿命との差は10年くらいあります。
資産損失ショックは死亡率の増加に直結しうるようです。リスクは取りすぎないように気をつけましょう。
食事に関しては、以下の本が一番よくまとまっていました。