おはようございます。
株式投資においては様々な戦略がありますが、その中で高配当株戦略というのは一部の投資家から絶大な支持を受けています。
キャピタルゲインは5年〜10年後になってみないと結論が出ませんが、インカムゲインは計算が立ちやすいというのが大きな魅力です。
米国高配当株ETFの代表格といえば、VYMとHDVだと思います。
VYM:バンガード・米国高配当株式ETF
HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF
です。
それぞれ、バンガード社とブラックロック社から販売されているETFですね。
本日はこの両者を比較してみたいと思います。
【米国高配当株ETF】VYMとHDVはどちらが優れているか?
結論から書きますと、私ならばVYMをひたすら積み上げます。
HDVを購入する予定はありません。
HDVの高配当はたしかに魅力ですが、構成銘柄、セクター比率、400銘柄という分散性においてVYMの方が好みだからです。
単純に「高配当」だけならばHDVがVYMよりも有利
「高配当」を謳うだけに分配金利回りが重要なのは言うまでもありません。
分配金利回りだけみれば、
VYM:2.9〜3.2%
HDV:3.5〜3.8%
ですので、HDVの方が有利ですね。
ただし、税引き後の分配金利回りは
VYM:2.1〜2.4%程度
HDV:2.6〜2.9%程度
まで下がることは知っておく必要があります。
せっかくの高配当も、国内外の二重課税でだいぶ持っていかれてしまいますね。
VYMとHDVの経費率とETF純資産総額は?
経費率はどちらも0.08%です。
0.10%を切る圧倒的な低コストを実現しています。
商品コンセプト上、完全に競合する商品ですので、バンガード社、ブラックロック社ともに手数料で負けるわけにはいかないのでしょう。
ETF純資産総額はVYMが約2.4兆円、HDVが約7000億円ですので、VYMの方が売れていますね。
流動性に関してはVYMの勝ちですが、個人投資家が気にするほどの差ではないと思います。
VYMとHDVの過去のリターンは?
VYMとHDVの過去のリターンを比較してみます。
(画像はYahoo financeから引用)
HDVは2011年発売ですので、暴落らしい暴落を経験していません。
よって、暴落時のパフォーマンスがどのようになるかは未知数な所があります。
一方、VYMはリーマンショック時に50%近い下落を記録しています。
リーマンショックは「100年に1度」と言われたほどの大暴落ですから、「VYMは最悪で50%の下落」を想定しておけばよいでしょう。
いくら高配当のディフェンシブ銘柄が多いとは、下がる時は下がるということです。
2016年後半以降はVYMがHDVを大きく上回っています。
後述しますが、VYMとHDVではセクター比率が大きく異なるのがパフォーマンスの差となって表れたものと考えられます。
HDVの主力であるエネルギーセクターが振るわなかったからですね。
VYMとHDV:配当込みのトータルリターンで比較
次に、配当込みのトータルリターンで比較してみます。
HDVが設定されたのが2011年7月ですので、それ以降のデータのみです。
トータルリターンは約7年間でVYMが+138.2%、HDVが+115.9%となっています。
高配当株ETFと言われるだけあって、配当金再投資の効果の大きさがよくわかりますね。
HDVの方が高配当ですが、トータルリターンではVYMが上回っていることも理解できます。
投資の原点に返り、構成企業やセクターが魅力的かどうかを検討する
分配金利回りは確かに重要ですが、投資の原点に立ち返ってみますと、
「ETFを構成している銘柄やセクター比率が魅力的かどうか」
という視点はより重要だと考えます。
ETFは非常に便利な金融商品ですが、究極的には個別銘柄の集合体を購入していることに変わりはないからです。
いくら高配当でも、投資先の企業に今後も成長し続ける魅力がなければ意味がありませんね。
次に、VYMとHDVの上位10銘柄とセクター配分を見てみます。
VYMの上位10銘柄とセクター配分
まずは、VYMの上位10銘柄とセクター配分を見てみます。
以前に本記事を公開した時(2018年5月時点)には、VYMの構成銘柄ナンバーワンはマイクロソフト(MSFT)でした。
その後、VYMからマイクロソフト(MSFT)が外されJPモルガンがトップになっています。
MSFTが外れたことにより、VYMの中のセクター比率でテクノロジーの占める割合が大きく下がっています。
VYMの特徴は、以前はテクノロジーと金融への割合が多い点にありましたが、今現在は、
「金融と消費財への投資割合が多い」
と言えるでしょう。
MSFTが外れてテクノロジーの占める割合が下がり、よりディフェンシブな形に近づいたと言えます。
HDVの上位10銘柄とセクター配分
続いて、HDVの上位10銘柄とセクター配分です。
こちらも最新版に入れ替えましたが、VYMと異なり2018年5月時点と大きな変化はありません。
若干順位の変動がある程度です。
続いてセクター比率です。
HDVの特徴は、
「セクター別ではエネルギーと通信サービス、消費財への投資割合が多い」
ことでしょう。
VYMよりもさらに高配当・ディフェンシブ銘柄を意識している印象です。
VYMが約400銘柄、HDVが75銘柄で分散性ではVYMが有利
ETFの魅力の一つは、個別株と異なり株式の集合体ですので、ETF一本購入するだけで多数の銘柄に分散投資することが可能です。
それによって、個別株リスクを低減することができます。
構成銘柄数はVYMが約400銘柄、HDVが75銘柄とだいぶ異なります。
ETFの持つ「分散性」を重視するならばVYMになります。
HDVは75銘柄と少数精鋭で、特に上位10銘柄で50%以上を占める点に注意が必要です。
あと、HDVは売買回転率が約50%と高いことも知られています。
要するに、HDVを構成する銘柄はVYMよりも入れ替えが激しいということです。
私は構成銘柄、セクター比率、構成銘柄数ともにVYMに魅力を感じますが、一長一短ですのでHDVに魅力を感じる人もいるでしょう。
まとめ
VYMとHDVの経費率は0.08%で互角です。
どちらも「高配当ETF」を謳っていますが、分配金利回りではHDVが優勢です。
構成銘柄はVYMが約400、HDVが75ですので、「分散性」ではVYMが勝ります。
業種では、VYMはテクノロジーと金融が、HDVはエネルギーと通信サービスが多いことが特徴です。
また、HDVは売買回転率が高く、銘柄の入れ替えが激しいことも知っておくとよいでしょう。
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高配当株ETFの実質利回りは2.0〜3.0%程度と考えておくべきです。それ以上を狙うならば個別株に手を出す必要があります。