おはようございます。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)はバンガード社から2001年に発売されたETFで、約18年の歴史があります。
特に、リーマンショック後は他の国や地域を寄せ付けない圧倒的なパフォーマンスを示しており、ご興味をお持ちの方も多いと思います。
本日はVTIの詳細について検討してみます。
【VTI】米国市場全体へ投資可能なバンガード最大の王道ETF
VTIのベンチマーク、経費率と純資産総額は?
VTIのベンチマークはCRSP USトータル・マーケット・インデックスで、大型株から小型株まで、バリューからグロース株まで、米国市場全体に広く分散投資が可能です。
米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%を網羅しており、まさに米国市場を丸ごと購入していることになります。
VTIの経費率と純資産総額を見てみます。
1) 経費率:0.04%
2) ETF純資産総額:約925億ドル(約10兆円)
と圧倒的な低コストと流動性を兼ね揃えています。
日本で人気のニッセイ外国株式インデックスファンドの純資産総額がようやく1000億円に届こうかというレベルですので、VTIの巨大さが理解できます。
VTIの構成銘柄は?
まずは、VTIの上位構成銘柄を見ていきます。
上位には、Apple、Microsoft、Amazon、Facebook、Alphabet(Google)のFAAMGが名を連ねます。
とはいえ、AppleやMicrosoft、Amazonでも3%に満たない割合です。
それだけ米国市場全体に広く分散されていることが分かります。
VTIの上位銘柄は、全て米国を代表する超一流の銘柄ばかりですが、個別株でこれら全てを保有するのは現実的ではありません。
VTIを購入すれば、間接的にAppleやAmazon、Microsoftの株を購入したことになりますので、それが株式の集合体であるETFの特徴ですね。
VTIのセクター比率は?
次に、VTIのセクター比率です。
VTIが米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%カバーしているという事実を考えますと、この数値が米国経済そのものと言ってもよいでしょう。
米国株投資家であれば、自分の持ち株のセクター比率を確認する時に、VTIのセクター比率をベースに考えるとよいと思います。
実際に見てみますと、テクノロジーが21.84%と圧倒的ナンバーワンです。
次いで、金融、ヘルスケア、消費財という順になります。
VTIの中でテクノロジーの占める割合は年々上昇傾向で、今の米国経済の好調さを支えているのは、間違いなくアップルやアマゾンといったハイテク銘柄ということですね。
FAAMGの勢いに陰りが見えた場合にどうなるかは不安の種ですが、今の勢いはどこまで続くでしょうか。
VTIの投資対象株のサイズは?
VTIが投資対象としている株のサイズについてです。
VTIは、米国内の大型株から超小型株までまんべんなく投資をするのが特徴です。
Small〜Micro株も6〜7%含まれるのが、S&P500 ETFとの大きな違いですね。
S&P500 ETFはほとんどがGiant〜Medium株で占めています。
また、以下の図を見ますと、バリューからグロースまでまんべんなく投資対象としていることが分かります。
ですから、VTIへの投資=全米市場への投資と言えるわけですね。
VTIの過去のリターンは?
VTIの過去のパフォーマンスを純粋な取引値と配当金込のトータルリターンの両者で見てみます。
まずは取引値(株価)です。
VTIが設定されたのは2001年ですが、その当時の取引値は55ドル〜60ドルです。
その後、リーマンショック前の2007年に75ドルまで上昇しましたが、リーマンショックで35ドル付近まで値を下げました。
2012年にリーマンショック前の75ドルという水準を回復していますので、約5年で元の水準に回復したことになります。
それ以降はチャイナ・ショックによる一時的な落ち込みはあるものの、右肩上がりに上昇し続けています。
取引値で見ても2001年の55ドル→2018年の147ドルと、リーマンショックという未曾有の大暴落がありながらも約2.5倍の上昇を示しているのはさすがです。
次に、配当金込みのトータルリターンです。
配当金込みでは、2001年〜2018年の18年間で約3.5倍に上昇したことになります。
インデックスでこのパフォーマンスであれば申し分ないですね。
途中で何があってもVTIを辛抱強くホールドし続けられた人は、今頃大きく報われていることになります。
米国経済の今後は?
過去の歴史を紐解きますと、米国市場は世界平均を上回るパフォーマンスをあげてきました。
これからも、ファンダメンタルズでは米国が世界平均を上回ることは間違いなさそうです。
よって、今現在の米国市場が適正〜割安であればVTIに100%集中投資というのは理にかなっています。
その一方で、ここ数年は米国だけが勝ちすぎているという懸念もあります。
以下はVTIとVTの5年チャートです。
VTIは年平均で約11%、VTは年平均で約7%のリターンを示しています。
S&P500の過去の長期リターンは年平均で6.8%程度と言われていますから、11%というのはあまりに出来過ぎと言えます。
この米国市場と世界平均の4%という差は、今までの歴史から考えても非常に大きいです。
実際に、CAPEやPER、PBRといった指標は世界平均と比べて米国市場が割高であることを示しています。
過去の歴史が繰り返されるならば、米国市場の将来のリターンは今までよりも悲観的なものになりそうですが、必ずしも計算通りにいかないのが投資の面白い所でもあります。
今後も目が離せませんね。
まとめ
米国株投資の王道であるVTIをご紹介しました。
海外ETF投資に抵抗がある方は、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)を購入すれば、日本円のまま・間接的にVTIへ投資することが可能です。
こんな記事も書いています。
当ブログのおすすめETFの第2位にこのVTIを選択しています。世界分散投資ならばVTを、米国集中投資ならばVTIを選択すればよいでしょう。
高配当、低ボラティリティ、グロース、バリューなどのスマートベータETFが全盛期を迎えていますが、ファクターにはブームがありますので、長期で考えた時にVTIに勝ち続けられる保証はありません。
VTIとほぼ同レベルで推奨できるのがS&P500 ETF(VOO、IVV、SPY)です。SPYは手数料が若干割高ですので、選ぶならばVOOかIVVがよいでしょうか。