おはようございます。
日経マネーの2022年7月号の中で、ハワード・マークス氏のインタビュー記事が紹介されており、それが非常にためになる内容でした。
マークス氏は投資経験50年以上のプロであり、『投資で一番大切な20の教え』は大ベストセラーになっており当ブログでもレビュー記事を書いています。
本日はマークス氏のインタビューの中で重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
日経マネーのハワード・マークス氏のインタビューは必読です!
ハワードマークス氏のインタビューのハイライトは以下の通りです。
1. 株価の先行きを予測することは不可能であり、長期保有に徹した方がよい
2. 先行きを読める自信があっても、攻めと守りのスタンスを変更する程度にとどめる
3. 個人投資家は株価指数に連動する投資信託を長期保有すべきである
4. 金などのコモディティへの投資はオススメしない
以下1つ1つ詳細を見ていきます。
1. 株価の先行きを予測することは不可能であり、長期保有に徹した方がよい
本インタビューの冒頭で非常に重要なことを述べています。
「まず強調したいのは、市況の変化に対応することは極めて難しいということだ」
「市況に応じてタイミングを見計らって投資しようとするのは誤りだ」
「大半の人、特に個人投資家には長期投資で市場にとどまり続けることを勧める」
投資歴50年以上のマークス氏に言われるとものすごく説得力がありますね。
「株式市場の今後などどうせ分からないのだから、最初から諦めて市場に居続けろ」というメッセージです。
適切な投資タイミングを読むことは非常に難しく、タイミングよく銘柄を乗り換えたりすることも非常に困難だと述べています。
私はたかだか10年ちょっとの投資経験ですが、長く投資を続ければ続けるほどその通りと頷かされます。
2. 先行きを読める自信があっても、攻めと守りのスタンスを変更する程度にとどめる
次に、
「市況を読むことは困難だが、それでも市況に対応したいというならば、相場に対して弱気になった時に守備を固め、強気の時に攻撃に転じるのが最良の方法だ」
と主張します。
要するに、相場の状況によって投資スタンスを多少変更するのは許容できるが、市場ににはとどまり続けるべきということです。
仮に判断が間違っていても、市場にとどまり続けていれば致命的なミスに至る可能性は低いからです。
しかし、この投資スタンスの柔軟な変更を正確に実行できるのは一握りのプロだけであり、通常は「ほったらかし投資」に徹するべきと述べています。
マークス氏の50年以上におよぶ投資経験の中でこの戦略を試したのは5〜6回しかなく、その中でうまくいったのは1回だけとのことです。
マークス氏の実力で5回に1回の成功率であれば、我々素人ならば言わずもがなという感じですね。
3. 個人投資家は株価指数に連動する投資信託を長期保有すべきである
マークス氏のインタビューの中に、
「率直に言うと、一般の個人投資家は自分で銘柄を選ばない方がいいと私は考えている」
「市況に応じて売買のタイミングを見計らうのと同様に、値上がりする銘柄を見抜くことは困難であるからだ」
とあります。
これはすなわち、投資のプロ・専業ではない一般の個人投資家にとっては、株価指数に連動する低コスト投資信託で十分であることを意味します。
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットですら、「S&P500に連動する低コストな金融商品を保有し続ければ大半の投資家よりも高いパフォーマンスを挙げられる」と明言しています。
それくらい、一般の個人投資家が市場平均を超えるリターンを上げ続けることは難しいと言えるでしょう。
4. 金などのコモディティへの投資はオススメしない
マークス氏は金などのコモディティへの投資は推奨していません。
株や債券、不動産など、利益を生み、その価値自体が増えていくものを投資対象にすべきだと説きます。
金などのコモディティはそれ自体が利益を生み出すことはなく、キャッシュフローや配当、利息などの付加価値も生みません。
あくまで需給関係に基づく価格の変動を目安に投資するしかなく、よほど価格の先行きが自信を持って読めるケース以外は投資対象から外したほうがよいでしょう。
インタビューの中で「50年に及ぶ投資経験の中でコモディティに投資したことはない」とありますので、やはりコモディティをポートフォリオの主力に据えるのはやめるべきですね。
まとめ
マークス氏ほど投資経験が豊富な方であっても、ほとんどの個人投資家にとっては、株価指数に連動する低コスト投資信託を長期保有するのが最適解という結論に至っています。
大変参考になるインタビュー記事なのでぜひ読んでみてください。
【ハワード・マークス氏の絶対に読んでおきたい投資本2選】
マークス氏の本でオススメは、
・投資で一番大切な20の教え
・市場サイクルを極める
の2冊です。
この2冊は非常に面白く、我々個人投資家も読む価値があります。
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『投資で一番大切な20の教え』の書評です。
株式市場が軟調になると急に注目されるコモディティですが、投資対象としては上級者向きだと思います。