おはようございます。
好調な相場においては、債券投資の必要性というのは理解できません。
長期リターンは「株式>債券」であることは歴史が証明していますので、投資において大半の時期は株式を保有していた方が有利です。
しかし、数十年に渡る長期投資の特定のポイントにおいては債券が非常に大きな役割を果たします。
本日は、ポートフォリオ内の債券が果たす2つの重要な役割について考えてみます。
ポートフォリオ内の債券が果たす2つの重要な役割(パート1)
株式投資において一度でも怖さを体験しないと、債券の必要性というのはなかなか理解できません。
相場が好調な時ほど株式投資の値動きに魅せられ、債券投資の必要性というのは忘れてしまいがちです。
時に忘れ去られがちな債券ですが、私は主に以下の2つの役割があると思っています。
1) 株式の暴落局面でのクッション役
2) 機械的なリバランスにより割安な株式を購入する仕組み作り
本日は、1)について考察します。
債券は株式の暴落局面でのクッション役を果たす
債券はポートフォリオの主役にはなりえませんが、株式暴落時のクッション役として大変重要です。
ここでは、分かりやすくするためにIVV(S&P500)とAGG(債券ETF)を様々な割合で保有した場合の値動きの差を比較してみます。
ポートフォリオは以下のように、
・Portfolio 1 IVV:AGG=50:50
・Portfolio 2 IVV:AGG=70:30
・Portfolio 3 IVV:AGG=90:10
としてみます。
過去15年間のトータルリターンでは株式100%が優れる
下の図は各ポートフォリオの2004年〜2018年の長期リターンを示しており、青線が50:50、赤線が70:30、黄色が90:10、緑がS&P500のみです。
2004年からの15年間で見た場合、トータルリターンではS&P500のみのポートフォリオが最も優れていることが分かります。
リーマンショック後は約10年近く株式に有利な相場が続きましたから、ポートフォリオ内に債券を組み込む割合が増えれば増えるほどリターンは低下傾向です。
特に、2014年以降はその傾向が顕著ですね。
ただし、これだけを見て「やっぱり債券は役に立たない」と決めつけるのは早計です。
それは、2009年〜2017年のように株式にとって恵まれた相場が10年近くも継続することは非常に稀だからです。
2009年〜2017年にかけての株価の伸びが素晴らしすぎて影に隠れがちですが、2008年〜2009年におけるリーマンショック時の谷の深さに注目しましょう。
谷の深さは債券の割合が高くなるにつれ浅くなること、また、S&P500単独のポートフォリオが債券入りのポートフォリオを超えるのは2014年以降ですので、それまでに5〜6年の歳月がかかっています。
この5〜6年というのが精神的に非常に厳しく、長く感じられると思います。
また、「IVV 90%:AGG 10%」のポートフォリオに関しては、S&P500単独のポートフォリオを比べてトータルリターンにほとんど差がないことも興味深く感じますね。
どの程度の下落まで耐えうるかシミュレーションしておく
下の図は、2004年〜2018年までの1年ごとの各ポートフォリオのリターンを示しています。
2007年、2009年、2011年の3年を除いては、全て株式の割合が増えるにつれてパフォーマンスが良い傾向を示しています。
一方、2008年の谷があまりに深いことがひと目で分かりますね。
この2008年のAnnual Returnを見て、どの程度の下落幅までならば自分が心理的に耐えうるかシミュレーションしておくとよいでしょう。
理想的な債券組み込み比率は?
少しビジーですが、下の図が今までのまとめです。
Portfolio 1はグレアム氏が提唱した「株式 50:債券 50」の伝統的なポートフォリオですが、若い方がこれからの時代を生き抜くにはやや保守的すぎる気がします。
暴落時に心理的に動揺して取り乱すのが心配だという方は、年齢が若ければPortfolio 2の「株式 70:債券 30」程度がよいかもしれません。
途中にどんな暴落があろうとも、20年〜30年に渡ってホールドし続けられる絶対的な自信がある方は、より攻めてPortfolio 3もしくは100%株式が理想となるでしょう。
シーゲル氏も長期保有になればなるほど株式比率を高めた方が有利と唱えていますが、実際にホールドし続けられるかどうかは別問題ですから、ご自身のリスク許容度をもう一度確認しておきたいですね。
まとめ
ポートフォリオ内の債券が果たす重要な役割の1つに、株式の暴落局面でのクッション役が挙げられます。
債券が輝くのは10年に1回程度ですので、平常時はその存在を忘れがちですが、長期投資家ならばうまく使いたいアセットクラスでもあります。
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こんな記事も書いています。
暴落というのは気が付かないうちにそっと忍び寄ってきます。暴落に巻き込まれてからでは遅く、あらかじめどう動くかシミュレーションしておく必要があります。
長期で見ればほぼ確実に上昇する商品だけを握りしめておけば、暴落時の心理的な負担をだいぶ抑えられます。
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