神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が資産形成や投資について日々思うところを語ります。

子宮頸がんワクチンの副反応問題について。どうみてもワクチンの積極勧奨を再開すべきです。

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おはようございます。

子宮頸がんワクチンの副反応問題は、一時期テレビで報道されていましたので、ご存知の方も多いと思います。

ヒトパピローマウイルス(HPV)によって生じる代表的な癌で、30代前後の若年女性に好発する病気です。

子宮頸がんワクチンによってその大半を予防することが可能ですが、先の副反応問題の後は日本では接種率が1%未満に低下しており、大きな問題となっています。

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子宮頸がんワクチンの積極推奨は再開すべきです

子宮頸がんとは?

日本では年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3000人が死亡しています。

HPVに感染した数年後に発症することが多いですが、子宮頸がんワクチンと子宮頸がん健診を組み合わせれば、子宮頸がんの90%以上を予防できることが証明されています。

HPVの中でも子宮頸がんを発症する確率が高い16型と18型に対するワクチンが入っていますので、子宮頸がんワクチンは癌予防効果が高いのですね。

子宮頸がんを発症した場合、進行がんの場合は子宮だけでなく卵巣・卵管、その周辺のリンパ節郭清も必要な大手術となります。

術後の妊娠は不可能になりますし、術後も放射線療法や化学療法が必要なことも多いです。

早期発見されれば、円錐切除術という小さな手術で済み、生命予後は良好ですが、術後の流産のリスクは高くなります。

 

要するに、

1) 年間3000人程度が死亡する病気であること

2) 妊娠可能年齢の女性に好発するため、術後の後遺症が問題となりやすいこと

が問題ですね。

 

副反応の面がメディアで大きく取り上げられ過ぎた

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2009年12月から、小学校6年生から高校1年生の女性を対象に子宮頸がんワクチンの摂取が始まり、2013年4月1日からは定期予防接種化されました。

その後、2013年6月14日から積極的な接種が中止となりました。

子宮頸がんワクチンはその対象の多くが10代の子供になりますから、副反応に関しては両親も敏感になります。

子宮頸がんワクチン接種後に慢性的な疼痛や神経障害が残ったという重篤な副作用が報告され、厚労省はワクチンの積極勧奨を中止しました。

一方、海外ではWHOの勧告もあり、ワクチン接種はどんどん進んでいます。

ピーク時の接種率は70%以上ありましたが、今現在の接種率は1%以下とのことです。

この分野では、日本は完全に後進国ですね。

 

なお、WHOからの勧告によれば、

「現在まで、接種推奨に変更を来たすような安全性の問題は確認されない」

「薄弱なエビデンスに基づく政策決定は、真に有害な結果となりうる」

とのことです。

かなり厳しいお言葉ですね。。

 

ワクチン接種が無リスクという考え自体がおかしい

投資と一緒で医療にも無リスクというものはないんです。

ワクチンは予防のために打つのだからリスクがあってはならない、という考え方は非常に危険です。

子宮頸がんワクチンは不活化ワクチンですが、これは病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたものを原材料として作られます。

不活化ワクチンの場合、生ワクチンと比べて免疫応答を生み出す力が弱いため、複数回のワクチン接種が推奨されます。

実際の生きた病原菌を注射するわけではありませんが、死んだ病原体を注射することで自分の体の中で抗体を作るのが目的ですので、体の中では劇的な変化が起きています。

そのあたりを理解した上で接種すべきでしょう。

 

効果とリスクを天秤にかければどうみても接種推奨は再開すべき

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リスクをゼロにすることが不可能である以上、効果とリスクを天秤にかけて、効果が大幅に上回る場合には接種推奨をすべきです。

子宮頸がんワクチンに関しては、年間数千人程度の死亡(しかも多くは若年女性)を防ぐことが可能なわけですから、非常に大きな価値があります。

もちろん、ごくわずかな割合で副反応が出ることもあるでしょう。

現代人は、どうも医療に「100%完璧」を求めすぎだと思います。

現代医療の恩恵に預かれている我々は、100年〜200年前と比べたらはるかに恵まれているんですよ。

200年前は抗生剤すら世の中になく、ちょっとしか感染症でも命を落としていたわけですから。

今現在も、新興国に生まれ育った人と比べれば、日本の最先端の医療を少額の自己負担で受けられる環境というのは何物にも代え難いはずです。

我々日本人は、生まれた時から「医療は受けられて当たり前」な世の中で育っていますので、感謝の気持ちが減ってしまっていると思います。

これは非常に危険な徴候ですね。

 

まとめ

反対意見もあろうかと思いますが、子宮頸がんワクチンは一刻も早く積極勧奨を再開すべきです。

むしろ日本のような先進国が、推奨を止めていることを恥ずべきだと思います。

 

 

こんな記事も書いています。

100%遺伝で引き起こされる病気はやむを得ないと思いますが、生活習慣病は規則正しい生活や運動で予防をし、ワクチンで予防できる感染症は適切に予防することが重要です。

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早期がんの治療で「民間療法」や「代替療法」を選んだ場合、大幅に死亡率が上昇することを知っておきましょう。早期がんの治療成績は大きく向上していますので、きちんとエビデンスに基づいた治療を受けたいものです。

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