おはようございます。
当ブログの読者の先生から、下記のご質問をいただきましたので回答させていただきます。
今回は、小児神経科医というスペシャリティ中のスペシャリティをお持ちの先生からのご質問です。
・暴落時には円高に振れる可能性が高いと判断している
・そのため、外貨積立よりも円高に振れた時点でまとめてドル転をした方がパフォーマンスが高くなるのでは?
という内容のご質問ですね。
失礼いたします。最近、ブログをお見かけしまして、以後、楽しく拝見させていただいております、30代半ばの小児神経科医です。境遇が似ておりますが、神経内科よりもさらにニッチな分野かと思います(笑)。投資の勉強を始めたのが3~4年ほど前からと遅く、既に市場が上昇局面にあったため、当方も、基本的には暴落待ちのスタンスで、NISAの範囲に収まる程度のETFとIPO、Idecoを勉強がてら試している程度です。そこで、1点教えていただきたいのですが、暴落局面では、おそらく現在よりもかなりの円高に進むと予想しているのですが、ちゅり男様は、こつこつとドル転されているようですが、こちらは結果的に、暴落時に一気にドル転するのと比較して、パフォーマンスの低下になるのではないでしょうか?普段、ドル転していないと、いざという時に、すぐに外国株に投資をためらうかもしれないという記載も拝見しておりますが、いかがお考えでしょうか?もしもお時間がありましたら、ご教授頂けましたら幸いです。失礼いたしました。
暴落時には円高に振れる可能性があり、理論上はハイパフォーマンスとなるが・・・
結論から書きます。
1) 暴落時には確かに円高に振れる可能性があり、もしそうなれば理論上はドル積立よりもハイパフォーマンスが期待できる
2) 株価の底と円高のピークは必ずしも一致をしないので、2つの指数を同時に追うのは難易度が高まる
3) 為替には政治的な要因など他の要素が多々からむため、絶対的な予測は困難(個人的には株価以上に予測が難しいと思っている)
4) 私自身は、短期的に円高に振れる可能性はあるものの、超長期的には円安のトレンドと予想している
5) 円-ドルは80-120円程度のボックス相場と考えられる。今の110円前後という水準を高いとみるか安いとみるかは個々の判断
暴落時に一気にドル転をした方が理論上はハイパフォーマンスが期待できる
今までの歴史の経過から、「有事の円」と言われる通り、暴落時など危機的な状況において円高が進む傾向が確かにあります。
円高に振れるまでキャッシュをストックしておいて、円高になった所でまとめてドル転というのが理想なのは誰もが考える所でしょう。
しかし、私自身は実際にはそうしていません。
その理由として、為替には政治的な要素などが絡んでくるため、株価以上に予測が難しいと思っているからです。
今までの投資の経験から、自分の予測が当てにならない気がしているため、諦めて外貨積立を利用しています。
暴落時の株価の底と円高のピークは時期が異なる可能性がある
暴落時には株式市場全体が大パニックになります。
その時に、株価と為替の2つの指数を冷静に追い続ける自身がないというのが正直な所です。
株価の底と為替の底は必ずしも一致しないため、追うのが難しくなるからです。
私が主力で投資しているのはバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)ですので、VTを例に挙げて考えてみます。
上がVTの10年チャートです。
リーマンショック以降は多少の下落相場はあるものの、ほぼキレイな右肩上がりのチャートを描いていますね。
仮に、リーマンショック級の「大暴落」を待ち続けている場合、10年近く投資機会が一度もないことになります。
株価が底を示したのは2009年の前半で、この時にVTは30ドルを割っています。
今が76ドルですから、羨ましいくらいの価格ですね。
私の手元にタイムマシンがあったら、2009年に戻ってVTを1万株くらい購入するのは間違いありません。
それができないから皆悩むのですね。
次に、円-ドルの為替を見てみます。
円高がピークを迎えたのは2011〜2012年頃ですね。
VTが底をつけた2009年前半には、まだ100円/ドルを若干割るくらいの為替相場で、80円/ドルレベルの超円高には振れていないことが分かります。
個人的には、民主党政権時代の政治体制や、その後の東日本大震災などの要因が株価以上に円高を長続きさせた要因と考えています。
このように、株価が底をつける時期と円高のピークは必ずしも一致しないため、「株価も底で、円高もピークで」と欲張り過ぎると、いつまでたっても投資ができない可能性がでてきます。
暴落が来る前に株価が上がりすぎてしまうリスクもある
どの程度の株価の下落からを「暴落」と定義するかにもよりますが、仮に日経平均やS&P 500が40%以上落ち込むレベルと想定すると、リーマンショック以降は一度も無いことになります。
その間にVTの価格は2倍になっていますので、ただ10年間指をくわえて待ち続けているのは明らかな機会損失です。
そこで、どの程度株価が下がったらどの程度の規模で投資をするか、あらかじめ自分の中でルールを定めておくことが重要です。
為替に関しても同様で、
・1ドル105円になったら◯◯円ドル転する
・1ドル100円になったら追加で◯◯円ドル転する
のようにルールを明確にしておいた方がうまくいく確率が高いです。
それが難しそうならば、為替はスパッと諦めて外貨積立で積み上げておき、株式の購入タイミングだけ逆張りで暴落待ちという戦略もありです。
でないと、「いつまでも投資ができないうちに株価が上がりすぎてしまうリスク」との戦いになります。
このあたりが逆張り戦略のもどかしい所ですね。
まとめ
株価と為替の両方の底を正確にとらえるというのは、実は非常に難易度が高いです。
私自身は、為替はスパッと諦めて外貨積立でドル転する方針としています。
最高のパフォーマンスを狙うならば円高をジーッと待ってまとめてドル転なのでしょうが。。
こんな記事も書いています。
昨日記事にしたように、ドルコスト平均法は60〜70点くらいの平均点狙いの投資法です。私自身は、為替に関しては外貨積立で平均点狙いに徹しています。
VTが70ドルで購入できる時代が昔合ったのか!と言われる時期がいつか来ることを夢見てコツコツ投資をしています。暴落時に備えてキャッシュポジションを増やしていますので、株価が下がれば集中投資も検討しています。