おはようございます。
先日、読者の方から下記のご質問をいただきました。
「どういった症状の時に「神経内科」を受診したらよいのですか。まずは「内科」を受診して紹介状を書いてもらうのが多いのでしょうか。」
以前と比べるとテレビなどで神経疾患が取り上げられる機会も増えていますので、神経内科の知名度も上がったかと思っていましたが、神経内科はまだまだ一般の方には馴染みが薄い科のようです。
神経内科医としてはまだまだ若輩者ではありますが、神経内科がメジャーになってほしいという気持ちはあります。
せっかくブログをやっていますので、たまには本業のアピールをすることにします。
対象疾患は頭痛、めまい、脳梗塞、認知症、てんかん、パーキンソン病など多岐に渡ります
神経内科一般に関しては、下記の日本神経学会のホームページにまとめられていますが、たしかに一般の方には分かりづらい点もある気がします。
主な対象疾患は、頭痛、めまい、脳梗塞、認知症、てんかん、パーキンソン病などの変性疾患ですね。
頭痛やてんかんを除けば、いずれも高齢化に伴って発症率が上がる病気ばかりです。
特に認知症は今後の日本の未来を左右しかねない大問題です。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、国民の10人に1人が認知症という時代がくると言われているからです。
症状としては頭痛やしびれ、めまい、もの忘れ、歩行障害、呂律や飲み込みの障害が多いです
神経内科を受診される患者さんの症状としては、頭痛やしびれ、めまい、もの忘れ、歩行障害、呂律障害、飲み込みの障害などが多いですね。
頭痛やめまいは患者さんの数が多いですので、我々神経内科だけでなく一般内科や耳鼻咽喉科の先生が診察されるケースも多いと思います。
このように、神経内科では脳や脊髄、末梢神経、筋肉といった全身の神経系のネットワークの異常から引き起こされる症状全般に対応します。
もちろん、検査の結果で脳外科的な対応が必要であれば脳外科、整形外科的な対応が必要であれば整形外科など、必要に応じて各専門科にコンサルテーション致します。
実際には開業医の先生から紹介状を持参して来院されるケースが多いです
上記のように、神経内科が取り扱う症状や病気は多岐に渡りますので、一般の方には「まだまだ分かりにくい」という印象が強いようです。
よって、いきなり飛び込みで神経内科を受診される患者さんはまだまだ少ない印象で、実際には開業医の先生から紹介状を持参されるケースが多いです。
開業医の先生の多くは神経内科が専門外とはいえ、Drとしての経験は非常に豊富な先生方です。
開業医の先生に一度診察をしていただき、より大きな病院で神経内科医に診察・検査してほしいポイントを紹介状として記載していただくと、我々神経内科としても求められているものがすぐに分かりますので診療がスムーズに行くケースが多いです。
大変紛らわしいのですが、うつ病や統合失調症などの精神疾患は神経内科では扱いません
うつ病や統合失調症などの精神疾患に関しては、専門は精神科や心療内科になります。
精神科や心療内科と書いてあればまだわかりやすいのですが、病院によって「神経科」「精神神経科」と書いてあるケースもあるので大変紛らわしいです。
我々神経内科はあくまで内科ですので、実際に脳・脊髄・末梢神経・筋肉などの全身のシステムにトラブルを引き起こす病気を扱うわけです。
例えば、脳梗塞であればMRIで異常を指摘できますし、パーキンソン病もDaTSCANやMIBG心筋シンチグラフィといった特殊な検査を行えば脳の中で起きている異常をとらえることができます。
一方、うつ病の方に対して脳の各種検査を施行しても、明らかな異常を指摘デキないケースが大半です。
このように、純粋に精神的な原因による疾患を扱うのは精神科ということになります。
まとめ
神経内科を受診すべきか迷われた場合は、まずは近くの開業医の先生にご相談を!
本当に必要があれば神経内科宛の紹介状を書いていただけるはずですので、それを持参して神経内科を受診してください。
こんな記事も書いています。
医療の世界は極端な閉鎖社会ですので、医者ならではの「あるある」がいくつも存在します。
神経内科の魅力について検討した記事です。神経内科を検討している医学生や初期研修医の先生に読んでもらえればと思います。