こんばんは。
本日の朝日新聞DIGITALに興味深い記事がありました。
医師の死亡診断がスマホやタブレットを利用した遠隔で可能になる可能性があるそうです。
これは、病院ではなく在宅や介護施設での看取りを進める上では画期的な制度になるかもしれません。
国が在宅医療(自宅での看取り)を推し進める上では必須の制度だろう
日本では欧米諸国に比べて、最期を迎えるのは病院というケースが圧倒的に多く、約8割と言われています。
一方で、欧米諸国では病院死は50%以下で、その他は自宅や介護施設、集合住宅での看取りです。
しかし、近年は点滴や胃管、モニターなどのチューブにつながれたまま亡くなるのではなく、より自然な最期を求めて、自宅や介護施設で最期を迎えたいと希望される方は増加傾向のようです。
まだまだ最期の場面では自宅や介護施設から救急搬送されてくるケースは多い
市中病院で勤務をしていると、自宅や介護施設で最期を看取ってもらうはずだったのに、いざ目の前で患者さんが急変すると家族が慌てて病院への搬送を希望し、搬送されてくるケースがまだまだ多いです。
日本では病院神話が根強く、「病院で最後まで全力を尽くして診てもらってそれで助からなかったのならば仕方がない」という風潮が強いのが一因でしょう。
家族としても、「最後まで病院で最善の医療を受けさせてあげたのだから悔いはない」といった心情になるのではないでしょうか。
在宅で最期を迎えることを本人も家族も100%納得しているケースではよいのでは?
いざ最後の場面で慌てずに対処するためには、癌などの慢性疾患による終末期の場合、死に場所、死に方というものを本人・家族を含めてよく相談しておく必要があります。
本人、家族ともに在宅で自然な形で最期を迎えることに100%納得しているケースであれば問題は起きづらいです。
しかし一方で、人の亡くなる日にち・時間というものはベテランの医師であっても予測は困難です。
数日以内の余命だろうという程度の予想は可能ですが、実際には医師の想像以上に長生きする人もいればあっという間に亡くなってしまう人もいます。
大きな病院では、24時間体制で医師が在中しているため、死亡時には迅速に死亡確認をして死亡診断書を作成することが可能です。
在宅医療の場合は、開業医が往診の一貫で行っていることもあり、死亡時刻に他の患者さんを対応していたりすると急な対応ができないケースもでてきます。
日本は歴史において類を見ない超少子高齢化社会を迎えます
当ブログで何度も取り上げているように、今後日本は歴史において類を見ない超少子高齢化社会、人口減少社会を迎えることになります。
その一つ目が2025年問題です。
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年のこと。
具体的には、
・医療制度、介護制度の破綻
・国民の1割以上が認知症
・年金制度の破綻
こういった問題が一気に顕在化してくる可能性が指摘されています。
その後は高齢者人口は緩やかに増加する一方で、年少人口や生産年齢人口は急激な減少が続きます。
そして、2040年以降は高齢者自体の人口も減少に転じます。これが日本のほぼ確定した未来です。
人口減少社会で生じる超過疎地、離島において遠隔での死亡診断は有用か
日本のような極端な人口動態の偏りが生じた場合には、一部の都市圏に医療や教育、福祉などのインフラを集中させざるを得ません。
医者のほとんどいないような過疎地が全国に増えていくことは避けられないでしょう。
そういった地域ほど高齢化率が高く、死ぬまで絶対にその地を離れたくないという高齢者の方も多かったりします。
そんな時、遠隔で死亡確認が可能なシステムは絶対に必要でしょう。
一部の地域では、「あの医者は人が亡くなったのに最後に顔も見にこなかった」などと言っていられない世の中が必ずやってきます。
こんな記事も書いています。
医療の世界はかなりの閉鎖社会ですので、医者の世界ならではの「あるある」が存在します。特に結婚における男女格差は他職種よりも顕著です。
努力をする時は適切な場所で努力をしないと報われない可能性が高いと思います。成功者を生むのは時流です。