おはようございます。
今年から始まった新NISAは従来のNISAよりもはるかに使いやすくなっており、これから資産形成に取り組む人にとっては使わない理由が見当たりません。
しかし、一つ注意点があるとすれば「多くの証券会社では海外転勤になるとNISA口座で投資信託や外国株を保有し続けられないこと」です。
利用している方が多いSBI証券や楽天証券の場合、海外赴任中にNISA口座で保有できるのは国内株と個人向け国債に限られます。
多くの人が投資しているオルカンやS&P500などの低コストインデックスファンドは対象外であることに注意しましょう。
どうしても海外転勤中にNISA内で投資信託を保有したい場合は「野村證券」への移管を検討するとよいでしょう。
【新NISA・海外転勤に注意】最長5年NISA口座の商品を保有可能だが、SBI証券や楽天証券はインデックス投信(オルカン)やETFは売却必須!
NISAを利用できるのは「日本国内に住んでいる人」だけ
NISAを利用できるのは、原則「日本国内に住んでいる人」です。
海外赴任をした場合、一時的にせよ「日本に住んでいる」という条件を満たさなくなってしまいます。
よって、一番安全なのは出国前にNISA口座内の資産を全て売却してしまうことです。
しかし、売却してしまうとその時点で非課税での運用が終わってしまうので、長期投資では大変不利になります。
何か他の方法はないのでしょうか?
2019年の税制改定で、NISA口座内の資産を最長5年間継続保有できるように
以前は、NISA口座内の資産をすべて課税口座に払い出すしか選択肢がなく、帰国した後もその資産をNISA口座へ戻すことはできませんでした。
2019年度の税制改正によって、NISA口座を利用している人が海外転勤などで一時的に出国する場合、最長5年までNISA口座内で商品保有が可能となりました。
ただし、海外に出国している間はNISA口座内で新規投資はできません。
あくまで出国時に保有していた商品をNISA口座内に最長5年まで預けっぱなしにできるという制度です(下図参照)。
海外転勤時のNISA口座継続に必要な手続き
海外出国中にNISA口座で商品を保有し続けるためには、「非課税口座継続適用届出書」を事前に金融機関に提出する必要があります。
帰国した後に「非課税口座帰国届出書」を提出すると、再びNISA口座で新規買付が可能になります。
手続きをせずに出国すると、NISA口座が凍結される可能性があるため注意しましょう。
まさに「知らなかったでは済まされない」事態になってしまいますね。
証券会社によって対応状況は大きく異なる
海外居住中もNISA口座を保有し続けられるかどうかは証券会社によって対応が大きく異なります。
2024年8月現在、マネックス証券は対応していません。
SBI証券と楽天証券は対応していますが、保有できる商品は日本の個別株と個人向け国債のみです。
よって、本書でおすすめするeMAXIS Slimオール・カントリーなどの投資信託やETFは、ネット証券大手3社の場合、海外赴任中はNISA口座で一切継続保有できないということになります。
私が知る限り、海外転勤中に投資信託やETFも継続保有できるのは野村證券です。
このように、海外出国中のNISA口座継続に関しては、対応している証券会社が少ないため、海外転勤の予定がある人はNISA口座を利用すべきかどうか慎重に検討しましょう。
まとめ
2019年度の税制改正により、海外出国中も最長5年までNISA口座で商品を保有できるようになりました。
しかし、楽天証券やSBI証券では日本個別株と個人向け国債しか保有できず十分とは言えません。
どうしてもNISA口座でオルカンなどの投資信託を保有し続けたければ、野村證券を利用するのがよいでしょう(ただし手数料が割高)。
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