おはようございます。
『週刊エコノミスト』で最近流行りの「FIRE」を4パターンに分類する記事が紹介されていました。
FIREというのは、「Financial Independence Retire Early」の略で、日本語に直訳すれば「経済的自立を達成して早期退職」という意味です。
米国株ブログ界隈では、穂高唯希さんが30歳という若年でFIREしたことが話題になりました。
本日はこのFIREの4パターンについての紹介と、各パターンに対する私なりの感想をまとめます。
FIREの4つのパターンとFIRE達成のポイント
本日ご紹介するFIREの4パターンは以下の通りです。
1. フルFIRE:資産特大、資産運用収入が生活費を上回る、就労なしでも充実した生活
「フルFIRE」とは莫大な資産を保有しており、資産運用による収入が毎月の生活費を上回っている状態です。
このレベルまで到達すると、特別に大きな冒険をしなくても、インデックス投資などの長期・分散投資のみで資産が勝手に増えていく状態になります。
「フルFIRE」が可能なレベルまで到達してから退職することができれば理想的ですが、それを待っているといつまでたっても結局辞められないというジレンマに陥る可能性があります。
FIRE本を読むと必ず出てくる「4%ルール」に基づけば、例えば、トータルで1.5億円を運用している場合、
毎年の生活費を「1.5億円 x 0.04 = 600万円」以下に抑えることが必要になります。
「4%ルール」についてご存知ない方は以下の記事を読んでみてください。
総資産が1.5億円もあれば「フルFIRE」が現実的に可能なレベルですが、一般的なサラリーマンの生涯年収が2億円〜3億円であることを考えますと、なかなかハードルが高いです。
「4%ルール」に基づいて5,000万円でシミュレーションをし直すと、毎年の生活費が「5,000万円 x 0.04 = 200万円」以下となってしまいます。
独身で家持ち・自宅暮らしならば毎年200万円以下でもギリギリ生活可能かもしれませんが、家庭持ちで子育て世代、賃貸で都心住まいの場合には非現実的な数字でしょう。
2. 倹約型FIRE:資産少なめだが、徹底した倹約をベースに働かずに暮らす
「倹約型FIRE」とは、運用資産は少ないものの、徹底した倹約生活をベースとして就労することなく生活していくスタイルのことです。
このスタイルの弱点は、年金受給年齢に達するまで資産運用からの収入しか頼れるものがないため、不測の事態が起こった時に非常に脆弱であることです。
毎日健康で予定通りに事が運んでいる時はギリギリ生活が成り立ちますが、病気になったり怪我をしたり、その他予定外の大出費があった時に生活が破綻する可能性があります。
また、「4%ルール」はあくまで目安であり、毎年安定した相場が続くわけではありません。
「倹約型FIRE」の場合は運用資産以外に頼れるものがないため、大暴落に巻き込まれた時の精神的な負担は相当なものでしょう。
FIRE直後は倹約生活が苦にならなかったとしても、そのまま生涯にわたって旅行などの贅沢を我慢し続けるのは人生の楽しみまで失っている気がします。
3. サイドFIRE:資産少なめだが、緩い就労と合わせて安定性を向上
「サイドFIRE」とは、資産額は少なめだが、緩い就労と合わせて生活の安定性を向上させたスタイルです。
FIREを考えている方の中には、会社に縛られた状態で、毎日決められた時間に言われた仕事をすることが嫌いなだけであって、
自分の好きな時間帯に好きな仕事を少しだけやるのは苦にならないという方も多いでしょう。
その場合、パートタイムで月10万円を稼ぐだけでも年収120万円となり、「4%ルール」に基づけば「120万円 ÷ 0.04 = 3,000万円」分トータル資産が少なくてもFIRE可能となります。
もちろん、必ずしも計算通りにいくとは限りませんが、毎月少しでも収入があるだけでFIREのハードルがだいぶ下がることは理解しておいて損はありません。
ただし、総資産額が少ない状態でFIREすれば、臨時の高額支出が発生した場合や、パートタイムジョブを解雇された場合、病気で働けなくなった場合などに経済的に破綻する可能性も相当にあります。
このあたりのバランス感覚が重要になってくるでしょう。
4. スローFIRE:資産運用、スローな勤労、資産取り崩しの3つを組み合わせる
「スローFIRE」とは、資産運用とスローな就労、資産取り崩しという3つの収入源を一定程度組み合わせるスタイルです。
よほど恵まれた方でなければ「フルFIRE」は困難、かといって「倹約型FIRE」もストイックすぎて生涯続けるのは難しいので、大半の方は「サイドFIRE」や「スローFIRE」を目指すことになるでしょう。
最大のポイントは、資産運用からの収入だけに依存せず、退職後も複数の収入源を確保することです。
この場合、1つ1つの収入源は小さくてもよいので、数が多い方が安定感が増します。
収入源を複数持っていれば、仮にその1つがダメになったとしても、他の収入源にリソースを割くことで生活を維持することが可能です。
FIRE達成のためには、メインの勤務先を退職した後に自分が本当にやりたいことを明確にし、かつそれを少しでもよいのでマネタイズする能力が求められます。
まとめ
FIREの最大のポイントは「経済的自立」にあると思います。
「経済的自立」を達成すれば精神的なゆとりが出て、早期リタイアへのこだわりがなくなるかもしれません。
【FIREに関するおすすめ本2選】
FIRE達成のためのポイントを知るためには、実際にFIREした先人たちから学ぶしかありません。
まずは以下の2冊を読みましょう。
1. FIRE 最強の早期リタイア術
米国発のFIREブームの火付け役になった本であり、最初の1冊としてぜひ抑えておきたい本です。
FIREの概念から計画の立て方〜実行まで、著者の経験をもとに語られます。
2. 本気でFIREをめざす人のための資産形成入門(穂高唯希著)
穂高唯希さんのFIRE本です。
徹底した倹約生活と高配当株投資を軸に30歳という若年でFIREを達成されました。
会社に縛られないお金や時間の作り方を学ぶうえで最適な一冊です。
【関連記事のご紹介】
株価が好調で早期リタイアを達成できる方が増えたことが、最近のFIREブームの原因でしょう。
2010年代は米国株を中心に、インデックス投資でも十分なリターンが得られる恵まれた相場でした。
FIREのポイントは「経済的自立」にあると思います。
経済的自立が精神的なゆとりを生むからです。