今日は多忙な医師がとりうる投資戦略について考えてみます。
ほとんどの医師に共通しているのは、
・本業が多忙であり、投資のための勉強時間が十分に確保できない
・投資に割く時間よりも、できれば本業のスキルアップや家族と過ごす時間を増やしたい
・新聞や経済誌などをじっくり読んでいる時間がない
こういったことでしょう。では、実際どうすべきなのでしょうか?
多忙な医者がとる投資戦略:時間対効果を最大化することに集中する
多忙な医者でも誰でも実践可能な投資術を考える時には、「時間対効果を最大化する」という視点が欠かせません。
一つ一つの個別銘柄の財務諸表やチャートのチェックを念入りに行う時間があり、しかもそれを楽しめる人であれば個別株投資に魅力を感じると思います。
しかし、多くの医師の場合は「投資についてはよく分からないし、ゆっくり勉強する時間もないけど、このまま銀行預金のまま保有するのも将来が不安だ。手間暇かけずに投資ができるなら運用してみたい」といった所ではないでしょうか?
その場合、最低限下記のことを気をつければ大失敗する可能性は低くなるかと思います。
1. 国際分散投資を心がける
投資の基本として、「卵をひとつのカゴに盛るな」という格言があります。
これは、自分の虎の子の投資マネーを一箇所に集中投資してはいけないということを意味します。
仮にあなたに大のお気に入りの企業があったとしても、その一社だけに集中投資をすることは非常にハイリスクです。
山一證券はすでにこの世に存在しないし、つい先日東芝の株価があっという間に1100円台→200円台まで急落したことを思い出してください。
このように、日本の東証一部上場企業であったとしても、いつ何が起こるか分からない世の中になってきています。
上記の逆が国際分散投資という考え方です。
・セクター(業種)の分散を心がける
→製造業だけ、金融業だけではなく、いろいろな業種にお金を分けて投資する
・国の分散を心がける
→日本だけでなく、海外の先進国にも投資をする。新興国にも一定額を投資すればさらに分散効果が高まる
・株式だけでなく債権やコモディティ、REITなど、投資対象を分散する
どこまで投資対象を分散するかは個人の考えによるところもありますが、少なくとも国やセクターの分散はした方がよいと思います。
2. 「ホームカントリーバイアス:円建て資産を持ちすぎる」に注意する
次に、ホームカントリーバイアスに注意したい。
ホームカントリーバイアスとは、資産運用の大半を自国の株式や債権などで行うことを言います。要するに、日本人であれば円建て資産ばかりを買い増してしまうことです。
日本国内の企業であればなじみがあるし、自国の成長を応援したいという気持ちが働くため、せっかく投資をしているのにそのほとんどを円建て資産で保有しているという人がいます。
しかし、今後の超少子高齢化時代を迎える中で、日本の経済市場が今後大きく発展する可能性は低いと考えざるをえず、長期的なトレンドとしては円安傾向になる可能性が高いです。
日本という、将来性の低い市場にのみマネーを投資すること自体がリスクと考えることもできるわけで、もっと広い視野をもって海外の成長国にも自分のマネーを投資し、外貨建て資産を増やした方がよいということです。
3. アクティブ運用の8割程度はインデックス運用に負けているという事実
アクティブ運用とは、目安となる指数(ベンチマーク)を上回る成績を目指す運用スタイルのこと。
日本株であれば、日経平均株価やTOPIXなどのインデックス指数を上回る成績を目指して運用を行うことになります。
ところが、実際にアクティブ運用を行っている投資信託の8割程度が、インデックス指数連動型の投資信託に運用成績では負けていることが判明しています。
また、アクティブ運用の投資信託は手数料がインデックス型投資信託よりも高いことが多く、手数料負けしてしまう可能性もあるためオススメできません。
4. 時間対効果を考えれば、ETFを利用するのがベストか
国際分散投資を実践するうえで、自分で投資対象の企業を一つ一つ選んでポートフォリオを組むやり方もありますが、国内のなじみがある企業であればともかく、海外の企業ではその企業の経営状況などについて十分に把握すること自体が困難です(相当やる気がある人は別)。
そこで、ETFをうまく利用したい。
近年、インデックス連動型投資信託の手数料が年々下がってはきていますが、まだETFには及ばないのが現状です。
とにかく手間暇かけていられないという多忙な先生には、全世界の株式市場全体に投資する指標として最も有名な
・VT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
に一本化して投資し続けるだけでも十分でしょう。
何も足さず、何も引かない投資・・・そういうことです。
余剰資金がある程度たまったら、順次VTを買い足していくだけのシンプルな戦略。
これだけでも、素人が根拠もなく、中途半端にあれこれ考えて個別株を買ったり売ったり繰り返すよりはだいぶ勝率が高いと思います。
もちろん、上記の投資戦略で大勝ちすることはまず無理ですが、多忙な医師にとっては無難中の無難な投資戦略と言えます。
まとめ
「投資のことはよく分からん、でも余剰資金が数百万あって、国内の銀行にただ貯金していてもほとんど利子もつかないし困ったな。かといって、本業が忙しいから投資の勉強なんて今後もやる時間ないし、やる気もないぞ」
こんな人はVTを買うくらいにしておいて、あまり素人考えであれこれ手を出さない方が無難ということ。
投資戦略もなく、素人が安易に売買を繰り返すと必ず大負けします。
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投資初心者の方は何も考えずにVTを積み立てた方がよいでしょう。
新興国市場は魅力的にうつりますが、新興国ならではのリスクもありますので、よく検討したうえで投資するようにしたいものです。