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新興国への投資は魅力的だが、新興国ならではのリスクも考慮しよう

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こんにちは。

今日は新興国投資の是非について考えてみたいと思います。

新興国は先進国よりも人口や生産性の向上に大きな余地があるため、将来的により高い経済成長が望めるのは言うまでもありません。

よって、新興国投資によってより高いリターンを得たいと考えるのは投資家の心情だと思いますが、新興国投資は良いことばかりではありません。

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 新興国投資に伴う政治的リスク、為替リスク、流動性リスク

高いリターンを得たいと考える投資家にとって、新興国投資は非常に魅力的な市場に見えると思いますが、十分にリスクを評価せずに新興国にやみくもに投資するのは非常に危険です。

新興国投資のメリットとリスクを別々に検討していきます。

 

新興国投資のメリット:期待リターンの高さと国際分散投資

新興国投資のメリットは当然期待リターンの高さにあります。

新興国は先進国よりも出生率が高く、また医療水準の低さや犯罪率の高さなどもあり、平均寿命も短いため、高齢化率が低い傾向にあります。

そのため、年少人口や生産年齢人口の総人口における比率が先進国と比べて圧倒的に高いのです。

生産年齢人口の伸びは、当然ながらその国の将来の経済成長に大きく影響してきます。

また、新興国の場合は全産業の中で第一次産業(農業、林業、漁業など)が占める割合が高く、今後の技術の発展による一人あたりの労働生産性の伸びしろが非常に大きいと考えられます。

今後数十年の人口動態の予測、一人あたり労働生産性の向上の余地を考えれば先進国よりも経済の伸びしろが大きいのは当然と言えます。

 

もう一つのメリットは、より世界中に分散した投資が可能になることでしょう。

投資の格言の一つに、「タマゴを一つのかごに盛るな」というものがあります。

単一のアセットに自分の全資金を投入した場合、その資産の価値が急落した場合には、自分の全財産の大半を失うという結果になるので、できるだけ投資対象を分散することで投資のリスクを下げられるという考えです。

先進国だけに投資をするよりも新興国にも広く投資をした方が分散効果が高まるという考え方ですが、近年ではグローバル化によって世界中の国のつながりが強くなったため、世界中の株価の価格変動も連動性が高まってきており、必ずしも大きなリスク低減効果は望めない可能性もあります(株価が下がる時は世界中一斉に下がりやすいということ)。

 

新興国投資ならではのリスクが存在することを知っておく

一言で言ってしまえば、次に紹介する様々なリスクによるボラティリティの高さが新興国投資の難しさだと考えます。

 

1. 政治的リスク

世界は広いので新興国と言っても様々ではありますが、一般論として新興国は先進国よりも政治的なリスクが高いと考えられます。

国が経済的に発展してきて、国民の生活レベルの底上げが進むと治安は良くなり、凶悪な犯罪率も低下、政治的にも安定することが多いからです。

新興国の方が、突然の政権交代やクーデター、内戦などが発生するリスクが高いと考えられます。

極端な話では、戦争によって国自体の存亡の危機が訪れる可能性もあり、そうなれば投資家が今までに投資してきたマネーは泡となって消えることになるでしょう。

 

2. 為替リスク

先の政治的リスクとも関連しますが、新興国では為替の変動が先進国よりも激しいことが多いです。

特に、戦争やクーデター、一国のトップの政治的な汚職などにより政治的な混乱をきたすと、その国の通貨価値が一気に下落し、「◯◯危機」と呼ばれる通貨危機が発生することがあります。

ロシアのルーブル危機や、ブラジル通貨危機、アジア通貨危機などは記憶に新しいのではないでしょうか?

せっかくこれらの国の株を買い増していっても、その国の通貨自体が紙くず同然になってしまえば何の意味もなさないということです。

 

もちろん為替リスクは新興国だけの問題ではなく、日本や米国などの先進国通貨にも無縁な話ではありません。

しかし、米国ドルの価値がゼロになる事態が考えうるでしょうか?

そのような事態が起きるのは、核戦争が起きてアメリカが崩壊寸前になるなど、よほどの例外的な事象が起きた時だけでしょう。

そこまでの危機的な状況になった時は、日本も政治的に大混乱を来しているはずですから、むしろ投資やお金のことを考えている場合ではありません。

つまり、もしあなたが米国ドルの価値がゼロになるような世界危機を想定しているのであれば、そもそも我々がやっている投資手法など全部無駄ということです。

ところが、新興国の場合、その国独自の政治的なリスクのみで、下手するとその国の通貨価値がほとんどゼロに近いレベルまで下落する可能性があります。

日本円がここ20年近く1ドル80〜120円あたりで変動しているのとはわけが違うのです。

 

3. 流動性リスク

新興国の市場は先進国と比べて市場規模が小さいため、ちょっとしたことでの値動きが大きくなります。

また、投資の法制度が国レベルで整備されていないこともあり、先進国では考えられないような理由で突然取引中止になるなどのリスクも検討する必要があります。

 

世界的な好景気になると、溢れかえった投資マネーの行き先が新興国に向かいます。

すると、新興国の実体経済成長以上に投資家の期待を表す投資マネーが流入し、新興国株が急騰することがあります。

そのタイミングで新興国株投資に参入してしまうと、高値づかみする可能性が高く、また、その後世界的に景気が悪くなるとまず新興国から先進国へ投資マネーの引き上げが始まりますので、一気に株価が急落し大損を抱えることになりえます。

 

つまり、株価というのは投資家の期待値を含んだ値であり、必ずしもその国の経済状態を正確に反映しているとは限らないことに注意すべきです。

市場が過熱して新興国への期待が膨れ上がった時には株価は実体経済以上に跳ね上がっている可能性が高いということです。

 

まとめ

 新興国投資のメリットは期待リターンの高さとより広い分散投資が可能になる点にあります。

一方で、政治的なリスク、為替リスク、流動性リスク、投資家の期待値、投資を巡る法整備など新興国独自のリスクもありますので、よく検討することが重要です。

新興国への個別株投資はよほどの理由がない限りおすすめしません。ETFで新興国全体に分散投資するのが無難でしょう。

 

 

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