おはようございます。
本日は、佐藤航陽氏の『お金2.0』の書評になります。
本書に書いてあることは、今現在のお金の常識とは一線を画するものであり、本当にこの通りになるかは現時点では私にも分かりません。
人によっては書いてある内容が先進的過ぎて、全く受け入れられないという方もいるでしょう。
私自身も、自分が仮想通貨に触れる前に読んだとしたら最後まで読まずに本棚にしまってしまったかもしれません。
しかし、少額ではありますが、実際に仮想通貨を使って送金をした後に本書を読んでみると、納得できる部分も多々あります。
本日は、そんな劇薬にもなりかねない『お金2.0』を紹介したいと思います。
『お金2.0』はお金・仮想通貨に対する考え方が根本的に変わりうる劇薬の書です
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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本書は書いてある内容が先進的すぎて、年配の方に理解することはまず不可能かと思います。
また、もしこの本が2010年頃に発刊されていたとしたらここまで売れることはなかったでしょう。
「ビットコイン」や「ブロックチェーン」という言葉すらほとんど知る者がいなかった時代に本書を発刊したとしても、「変な妄想をしている奴がいるわ」の一言で片付けられてしまった可能性が高いです。
この本が売れ続けている事実が時代が変わりつつあることの間接的な証明とも言えます。
とはいえ、2010年と言えばほんの8年前なんですね。
これから時代の流れはますます加速し、10年前に常識であったことが10年後には非常識ということは当たり前の時代になりそうです。
本書に書いてあることも10年後には常識を通り越してしまって、また次の新しい常識がやってきているかもしれません。
以下、印象に残った部分を取り上げます。
これからの社会は「自動化」と「分散化」がキーワード
佐藤氏は、下記のように、これからの10年のキーワードは「自動化」と「分散化」だとしています。
世の中に膨大なデータが溢れたことで進んでいく「自動化」と、ネットワーク型社会に移行することで起きる「分散化」という2つの大きな流れは、今後の10年を考える上で非常に重要になります。
そして、この2つが混ざった時に起こる「自律分散」というコンセプトが、多くの産業ビジネスモデルを覆すことになると私は思っています。
「自律分散」とは、
・全体を統合する中枢機能を持たないこと
・自律的に行動する各要素の相互作用によって全体として機能する仕組みであること
が特徴です。
自然界のように、絶対的な支配者や管理者がいるわけではなく、個々の存在がバラバラに行動しているはずなのに、うまい具合にバランスを取りながら回っているシステムのことを指します。
中央集権国家にしか生きたことがない我々には想像もつきませんが、本当にそのような世の中が来たら面白いですね。
複数の経済圏に生きる時代が訪れるか?
本書を理解する上で絶対に外せないのが、「トークンエコノミー」という概念です。
既存の経済圏においては、法定通貨の発行者は国家であり、企業や個人はその通貨を軸に経済活動を行います。
つまり、通貨の発行者と利用者は完全に分離されています。
日本国内において企業や個人が「日本円」を発行できるはずがありませんので、これは当然ですね。
一方、トークンエコノミーでは、特定のネットワーク内で流通する独自の通貨をトークンとして生産者が発行して、独自の経済圏を作り上げることが可能です。
要するに、企業や個人が独自通貨であるトークンを自由に発行し、どんなルールで流通させるかも自由に決めることができます。
私の印象に残ったのは次の部分です。
トークンエコノミーが本格的に普及すれば、現在の資本主義経済の中でうまく居場所を作れない人も、全く違うルールの上で周るオンライン上のトークンエコノミーでは活躍できるかもしれません。また、1つの経済の中で失敗したとしても、いくつもの異なるルールで運営される小さな経済圏があれば、何度もやり直すことができます。
複数の経済圏が並行して存在すれば、既存のメインストリームの経済から外れてしまった人に対しても膨大な選択肢を与えることになり、選択肢があることによって多くの人がリスクを取って積極的に活動ができるようになります。
もし、本当にこのような世の中が訪れたら、自分が医者として働き続けるかどうかも分からなくなりますね。
既存の価値観に囚われるすぎると仮想通貨は理解できない
下記の一文も大変強く印象に残りました。
人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる
これは大変面白いですね。
確かに、私の両親に仮想通貨やブロックチェーンの話をしたとしても、永遠に受け入れられることはないでしょう。
また、下記のようにも述べています。
トークンネイティブの世代には、生まれた瞬間からビットコインやブロックチェーンに当たり前に触れて使いこなすことができ、今の私たちとは全く違う視点でお金や経済のことを捉えていることでしょう。
その時には、自分のようなデジタルネイティブの世代が思いつきもしないサービスがどんどん生まれるはずです。
デジタルネイティブ世代はトークンネイティブ世代が作るサービスが理解できなくなり、「規制が必要だ」という話をしているかもしれません。
実際、各国で仮想通貨に対する規制が強まっていますのはテレビでも報道されている通りです。
仮想通貨やブロックチェーンの技術が現実世界に普及するには今しばらく時間がかかりそうですが、数年かけて少しずつ応援していこうと思います。
パラダイムシフトがこの後10年で本当に起こるか要注目です
現実には、仮想通貨やブロックチェーンの技術はまだまだ実用化には程遠く、まだ始まったばかり、もしくは始まってすらいない段階と言ってもよいのかもしれません。
パラダイムシフトが起きる可能性は十分にあります。
ただし、現状では仮想通貨がフィアット(法定通貨)を効率よく稼ぐための投機になっているのは非常に残念ですね。
「ビットコインは詐欺」「ビットコインバブルが弾けた」といったフィアットを稼ぐ手段として以外の側面が取り上げるようになれば、仮想通貨市場はもっと成熟していくのではないかと思います。
仮想通貨に実際に触ったことがない方には分からないと思いますが、実際に仮想通貨の世界に触れてみますと、実によくできた仕組みであることが分かります。
私自身は、イーサリアム(ETH)の将来性に大きく期待していますので、これからも少額ずつではありますが、投資を続けてみようと考えています。
まとめ
『お金2.0』に書いてある内容が今後の10年間で100%実現されるかどうかは不透明ですが、こういった考え方があることを知っておくことは有益だと思います。
もし本当にこのような世の中が訪れたら、自分はどうやって生きていくか考えてみるのも面白いですね。
こんな記事も書いています。
仮想通貨はまだまだ投機の側面が大きいですので、堅実に行くならば株式投資です。始めの一冊としてシーゲル氏の『株式投資の未来』は絶対に読んでおきましょう。
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