おはようございます。
ここ数年、インデックスファンドの信託報酬引き下げ競争が激化しており、年々信託報酬の低いファンドが登場しています。
そこで、多くの方が悩むのが「自分の保有しているファンドよりも信託報酬が低いファンドが出た場合、すぐに乗り換えるべきか否か?」ということではないでしょうか。
本日はこの点について考察してみます。
投資信託は次々と低コストの物に乗り換えるべきか否か?
インデックス投資家ならば誰でも気になるのが手数料でしょう。
今ではノーロード投信が当たり前になりましたので、購入手数料についてはあまり考える必要がありません。
一方、長期投資家であれば、保有し続ける限り毎年必ず支払う必要がある「信託報酬」には少しの差でも敏感になるかと思います。
元々、インデックス投資の期待リターンはせいぜい年数%ですから、信託報酬が0.5%も違えば長期間保有すればするほどパフォーマンスに差が出るからです。
特に、同じインデックスに連動する商品であれば0.5%の差は致命的とも言えるでしょう。
MSCIコクサイ・インデックスに連動するファンドで考えてみる
世界分散投資を実践しているインデックス投資家であれば、最も多くの方が資金を投入しているのが先進国株式市場へ投資をするMSCI コクサイ・インデックスに連動するファンドかと思います。
MSCI コクサイ・インデックスに連動する投資信託では、一昔前では信託報酬0.5%以上が当たり前でしたが、今では0.2%前後が常識です。
ちなみに、少し話はそれますが、最新版の信託報酬一覧については下記のフクリさんのブログを見れば一目瞭然です。
信託報酬0.5〜0.6%のものは時代遅れで今から購入する理由はない
この中で、「先進国株式」という所の信託報酬一覧を見ていただければすぐに分かります。
綺麗に信託報酬0.5〜0.6%のもの(SMT、eMAXIS、Funds-i、インデックスe)と0.2%前後のもの(ニッセイ、たわら、iFree、eMAXIS slim)に分かれていますね。
この中で、信託報酬0.5〜0.6%の物は明らかに手数料が割高ですので、今から新規購入する場合には選ぶ理由はありません。
はっきり言ってしまえば時代遅れなんですね。
eMAXISはeMAXIS slimという信託報酬を引き下げた新しいシリーズが発売されていますので、まだ良心的と言えますが。。
さて、ここで悩むのは、「すでに信託報酬が0.5〜0.6%のファンドを保有している人が、0.2%前後の割安なファンドに乗り換えるべきか?」ということです。
今のような株高局面で売るのは大変悩ましい
「信託報酬が年間に0.3%に違うのだから、今すぐに乗り換えた方がよいに決まっているだろう!」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、ここで悩ましいのは、株式は利益を確定するとその20.315%が税金として持って行かれるという事実です。
一方、株式の利益に関しては、売却して利益確定をしない限りは税金がかかりません。
含み益がほぼゼロに近い状態であれば、売り払っても税金がほとんどかかりませんので、今すぐにスイッチングしてOKです。
一方、多額の含み益があればあるほど、売った時に取られる税金(20.315%)が多額になりますので、パフォーマンスの低下に直結しやすいです。
スイッチングした後は、税引き後に残ったお金でリスタートになりますからね。
「利益が多い=その商品が優秀であった」ということですので、基本的には良いことなのですが、それがスイッチングに関しては足かせになりうるのです。
アベノミクスの恩恵を受けた人ほどスイッチングはしづらい
なぜ今現在の乗り換えがおすすめできないかと言うと、数年前からインデックスファンドの積立投資を継続している場合、今の世界的な株高局面では大幅な含み益が出ている可能性が高いからです。
私自身、数年前に購入して完全放置してある「外国株式インデックスe」や「SMTグローバル株式インデックス・オープン」の投資信託があるのですが、すでに200万円以上の含み益があります。
本当は一刻も早く割安なファンドに乗り換えたいのですが、多額の税金の支払いを避けるために今のところ二の足を踏んでいます。
将来的に暴落局面が訪れて含み益がほとんどゼロ、またはマイナスに近づくことがあれば、その時点でのスイッチングはありでしょう(どれだけ暴落してもインデックスファンドの積立を絶対に継続する!という強い意思は必要ですが)。
売却益がゼロに近ければ税金はほとんど取られませんし、損失が出ていれば税金はゼロだからです。
そのタイミングで、思い切って信託報酬が最安値の別のファンドへ切り替えるのは妥当だと思います。
まとめ
含み益が膨れ上がっている局面では、売却に伴う税金も多額になりますので、その後のパフォーマンスの低下が著しくなります。
「どんなにひどい暴落局面があっても絶対に投信積立を続ける!」という強い意思をお持ちの方であれば、暴落局面で低コストのファンドへの乗り換えをするのはありでしょう。
アウターガイさんからご連絡をいただき、投資信託の「乗り換えコストチェッカー」という便利なツールを当ブログでご紹介させていただけることとなりました。
これを利用すれば、乗り換えをした場合としなかった場合で何年後に収支が逆転するかが一目瞭然ですね。
アウターガイさん、この場を借りて感謝申し上げます。
こんな記事も書いています。
iDeCoは節税効果を含めると、高額所得者ほど最も負けにくい投資法になります。また、2018年から始まるつみたてNISAも利益や配当にかかる税金が免除されますので大変有利です。
ウェルスナビやTHEOのようなロボアドバイザーであれば、リバランスも勝手にやってくれるので手間いらずですね。少々手数料は割高ではありますが、面白いとは思います。
より大きなスケールで投資が可能ならば、初めからドル転してETFを購入した方が理にかなっていると思います。少額でコツコツ積立ならば投資信託一択ですね。