神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が日々の気づきを書いていきます。ただそれだけですが、よろしく。

橘玲著『幸福の「資本」論』を読んで人生の理想のポートフォリオを考える

おはようございます。

橘玲氏の『幸福の「資本」論』を読みました。

この本は、今までの橘氏の書籍の総まとめのような内容になっており、内容が盛りだくさんで一冊でお得感があります。

一方で、今までの橘氏の書籍を全て読んできた人にとっては少々目新しさに欠けるかもしれませんね。

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いかに金融資産、人的資本、社会資本の3つの柱のバランスをとるか

 

幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

 

 

幸福の3つのインフラ:金融資産、人的資本、社会資本

金融資産、人的資本、社会資本の3本柱については、橘氏の過去の書籍でも登場していますので、すでにご存知の方も多いかもしれません。

著者は、金融資産、人的資本、社会資本の3つのうち、どれを持っているかによって人生を8つのパターンに分類しています。

 

人生の8つのパターン

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1) 貧困:金融資産、人的資本、社会資本の全てを持たない者

2) プア充:金融資産はなく、給料の良い職業についていないが、友達はたくさん

 →地方在住の若者に多い

3) リア充:金融資産はないが、良い職業についていて友達も多い

4) 超充:3本柱全てが充実した人 

 →現実にはほぼ存在しない

5) お金持ち:良い職業についてお金を持っているが、友達はいない

 →恵まれた仕事と金融資産があれば面倒な人間関係はいらない派

6) 旦那:職につかず収入はないが、金融資産と友達はたくさんいる

7) 退職者:金融資産は豊富だが、職はなく友達も少ない

8) ソロ充:良い職についているが、友達はおらず、自分の好きなことにお金を使う

 

「超充」は現実的にはほぼ存在せず、「超充」になれなくても資本を2つ持っていればそれなりにやっていけると述べます。

逆に、資本を1つしか持っていない(上の2番、7番、8番)と、ちょっとしたきっかけですぐに「貧困(1番)」に陥るリスクが高いので要注意です。

 

お金と幸福の関係「No money, no freedom」

金融資産を考える上で最も重要なのは「経済的独立」です。

資本主義社会に生きる以上、一定のお金なくして「自由」を得ることはできないということです。

 

では、お金と幸福度はどのくらい相関するのでしょうか?

著者によれば、年収が800万円を超えると幸福度はほとんど上昇しなくなることが分かっています。

米国の調査では75,000ドルで、日本とほぼ変わらないとのことです。

 

要するに、

1) 収入額が低いうちは、収入を増やすことが幸福度の上昇に直結する

2) 一定以上の収入(800万円以上)を得ても、それ以上幸福度は上昇しない

ということですね。

なお、総資産額は1億円までは資産額が増えるにつれて幸福度は増すそうです。

 

確かに、子供に十分な教育を与え、年に数回の旅行に出かけ、時々外食をして・・・というのを幸福と考えれば、これ以上の収入を得ても幸福度に直結しないのは納得です。

一方、家賃の支払い、子供教育費、光熱費、食費をどうやって捻出するかを必死で考えなければならないレベルの収入では、幸福度が低いのも納得でしょう。

 

金融資産と社会資本の両立は困難

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著者は、愛情に包まれた億万長者は物語の中にしかいないと主張します。

富が大きくなると、全ての人間関係に金銭が介在するようになって友情が壊れるからです。

地方のマイルドヤンキーが広く友情を保つことができるのは、そのグループの全ての者が平等に貧しいからであると・・・

非常に夢のない話ではありますが、納得できる部分もあるのは事実です。

 

金融資産が増えるにつれて「強いつながり」を維持し続けるのは困難になる・・・

それであれば、「強いつながり」を求めるのは恋人や家族など最小限に限定して、友情を含めてそれ以外の関係は全て「弱いつながり」を維持するのが最適ではないかと主張します。

 

その上で、マックジョブではなく、スペシャリストやクリエイターとしての人的資本を獲得し、組織に依存することなく好きなことをして生きていくことができれば理想ではないか、ということです。

要するに、フリーエージェント化して、「弱いつながり」を広く維持しながら生涯現役戦略をとるということですね。

 

私個人にとってこれが最適解かどうかは分かりませんが、一つの考え方として非常に参考になりました。

 

宝くじの1等当選者はなぜ不幸になるのか

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宝くじにあたって、貧乏から突然億万長者になった直後は、当然ものすごい幸福感が訪れます。

宝くじの当選によって、彼らの金融資産はいきなりMaxになり、「経済的独立」を達成するからです。

 

しかし、億万長者になっても今までの仕事を続ける人はいないため、職場に辞表を書いて提出することで人的資本が一気にゼロになります。

また、億万長者になったことを知ると、そのお金目当ての人たちが周囲に突然現れ始め、人間不信に陥り社会資本もゼロになります。

 

これによって、金融資産だけが飛び抜けた非常に偏ったポートフォリオが出来上がります。

お金があるうちはまだOKですが、突然大金持ちになった人は、適切なお金の使い方や倹約方法などを知らないため、豪邸を購入したり怪しげな投資に散財してしまい、そのうち金融資産も底をつきます。

そうすると、3つの資本を1つも持たない「貧困」に簡単に転落するというわけです。

 

まとめ

過度な借入をしてマイホームを購入した直後は、不動産に資産が偏りすぎるため危険、というのは金融資産投資の常識ですが、これはあくまで金融資産というポートフォリオ内の話です。

それに加えて、橘氏の提唱するように金融資産だけでなく人的資本、社会資本まで考え方を広げることで、より広い視点で物事をとらえることができそうです。

 

 

橘玲氏の代表作として、下記の書籍の2冊はぜひ読んでおかれるとよいと思います。

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

 

 

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

 

 

幸福の「資本」論を読んでから『となりの億万長者』を読むと、富裕層がなぜ派手な生活をしていないかが分かる気がします。派手な生活をしていることが周囲に知れ渡ると、社会資本が失われることを彼らはよく知っているのかもしれません。

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