神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が日々の気づきを書いていきます。ただそれだけですが、よろしく。

インスタグラムに投稿された写真でうつ病が診断できる?

おはようございます。

今週号の『週刊ダイヤモンド』に、インスタグラムの写真からうつ病が診断できる?という興味深い記事がありました。

原著論文は下のサイトからダウンロードできますので、興味がある方はどうぞ。

epjdatascience.springeropen.com

 

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インスタグラムの写真からうつ病を診断できる?

うつ病は精神疾患であり、画像検査などで確定診断をすることができないため、どこまでが正常範囲でどこからがうつ病かを判定することが難しいことが多いです。

 

我々神経内科は脳梗塞や認知症、パーキンソン病などの脳の病気が専門ですので、厳密な意味では、精神疾患であるうつ病は専門ではありません。

しかし、一般の方には神経内科と精神科の線引きがよく分かりにくいのか、実際にはうつ病の患者さんもかなりの割合で受診されます。

 

先日、病院の受付のお姉さんが、「うちには精神科はありませんが、神経内科がありますよ」と発言しているのを聞いて、一般の方への啓蒙活動はまだまだ必要だと認識しました。

 

方法:参加者のインスタグラムの写真データと過去の病歴を対比する

さて、本研究は米国のハーバード大学の研究グループからの報告になります。

インスタグラムの投稿写真を解析することで、投稿者がうつ病かどうかを推測するプログラムの検証実験を行ったものです。

 

方法はシンプルで、インスタグラムのデータと病歴の公開に同意した166名と、彼らが投稿した43,950枚の写真を詳細に解析しました。

 

うつ病の人の投稿写真には一定の特徴があった

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対象者のうち71名にうつ病の病歴があり、写真の色みや顔写真の投稿パターンから、発症以前に投稿した写真にもある共通する傾向が見つかりました。

 

具体的には下記になります。

・青みや灰色が勝った暗い色調が多い

・画像を加工する時にモノクロ風のフィルターを多用する

・投稿頻度が多い

・人物写真の投稿が多いが、写真に写っている人物は少ない

 

インスタグラムをやっていない私には正直よく分かりませんが、上の2つはなんとなくうつ病の特徴を捉えている気がします。

 

結果:うつ病の検出率は70%で、非専門医によるうつ病の診断率を上回った

本研究のプログラムによるうつ病の検出率は70%でした。

精神科以外の非専門医が診断した場合、うつ病の正診率は約50%にとどまるというデータもあり、機械学習が非専門医の診断率を上回る可能性が示唆されました。

 

うつ病は、生涯罹患率が5〜10%と非常に高く、非専門医でも日常診療でしばしば遭遇します。

将来的に、このプログラムの精度がもっと上昇すれば、非専門医の診断を補助する有用なツールになりうる可能性がありますね。

 

なお、このプログラムは「投稿写真」と「投稿頻度」だけでうつ病かどうかを判定するそうです。

性別や年齢、社会背景などのその他の情報を全く必要とせず、うつ病を診断できるというのは利便性が高いです。

 

まとめ

本研究のように、AI(人工知能)の技術を応用してビッグデータから疾患の発症を予測するプログラムを作成する試みは、うつ病以外の疾患にも広がっていく気がします。

神経内科の疾患は、疾患によって特有の顔貌を呈することがあり、神経内科の分野にも応用できないか個人的には非常に興味があります。

 

 

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