おはようございます。
米国株・ETFにおいて、為替を利用した損だしの方法について以下のご質問をいただきました。
いつも楽しく拝見しております。
今日お尋ねしたいのは損益通算についてです。
亡父の株をきょうだいで相続するために現金化したため、かなり多額の株等の譲渡益のマイナスがでたので、ここ2年は確定申告で損益通算をしてきました。
アメリカのETFの配当+今年はETFの売却もしたためかなりの益が出たので、もうマイナス分を超えてしまって税金の支払いが必要かなと考えていました。
が、ふと思いついたのですが、まだ所有しているETFを購入した際の為替が現在よりも7円ほど円安だったため、ドルベースでは少しのマイナスだけれど円ベースではかなりのマイナスになっているのを利用できるのではないかと。
そのETFを売却してすぐに同額で買いなおせば、ドル上では損がほとんどなく、状況が変わらないのに、円貨に換算して課税される所得税についてはかなりの節約になるのではないかと思うのですが、考え方は間違っておりますでしょうか?
教えていただければ幸いです。
どうかよろしくお願いいたします。
ご質問様のおっしゃる通りで、この方法で米国株の損だしを行うことが可能です。
詳細がよく分からない方もいると思いますので、以下で解説します。
米国株で為替の変動を利用して損だしをする方法
為替の変動を利用して損だしを実行する方法
一例を挙げます。
1) 1ドル=120円の時にBNDを75ドルで100株購入した(90万円)
2) その後円高が進行して1ドル=100円となったが、BNDの価格は75ドルのままであった
3) そのタイミングでBNDを100株売却(75万円)し、翌日に再度100株購入し直した(BNDの株価は75ドルのままと仮定)
この場合、ドルベースでは7500ドル分のBNDを購入し、売却して再度購入し直しただけなので、状況は何も変わっていません。
一方、日本の証券会社では損益は円ベースで計算することになっています。
よって、1)の購入価格が90万円で、3)の売却価格が75万円であれば、その時点で15万円の損失が計上されます。
もちろん、いつまでも円高に振れ続ける可能性は低いので、その後円安となれば次回はBNDの売却時に利益が計上される可能性もあります(ドルベースでは変わっていなくても)。
損だしと買い戻しは営業日をずらすことが重要
細かい注意点としては、売却と買い戻しを同日に行ってはなりません。
買い戻す場合は翌日以降にする必要があります。
これは、同一営業日に売買を行うと取得単価が平均化されて計算されてしまうからです。
例えば、1株だけ500ドルで購入した株を1株300ドルで売却し、200ドル分の損失を計上するつもりだったと仮定します。
同一営業日に300ドルで買い戻してしまうと、同一日の売買では買いが先に発生したと計算されてしまうため、取得単価が(500 + 300)÷ 2 = 400ドルとなってしまうのです。
よって、このケースでは400 - 300 = 100ドル分の損失しか計上することができなくなります。
細かい理論を知っておく必要はありませんが、「損だしをして同じ株を買い戻す場合には営業日をずらす」ことだけは絶対に守りましょう。
まとめ
損だしを考える時に、日本株と異なり米国株ではドル円の為替の変動も考慮しなくてはなりません。
初めのうちは難しいですが、慣れてくれば効果的な損だしが可能になると思います。
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損だしが目的化してしまっては意味がありませんので、原則は長期保有で利益がでる確率の高い商品を購入すべきでしょう。
国内の投資信託でも、含み益が減った時はより低コストの商品へ乗り換えるチャンスですね。
NISA口座は他の口座と損益通算できないことを知っておきましょう。