おはようございます。
皆さんは、『サピエンス全史』は読まれたでしょうか。
ユヴァル・ノア・ハラリ氏の書いた本書は、教養書の世界的ベストセラーとして知られていますね。
人類(ホモ・サピエンス)の進化において、「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3つの要因がいかに重要であったかが、様々な状況証拠の裏付けとともに示されていきます。
一見難しい内容の本に聞こえますが、人類の進化の歴史について、一冊でこれだけのまとまった知識が得られる本はめったにありません。
社会人ならば全員必読の書といえます。
『サピエンス全史』は社会人ならば全員必読の書です
一人の著者が、これだけ壮大な内容を一冊の本にまとめ上げるというのは並大抵の努力ではありません。
上下巻セットで4000円ほどしますので、教養書としては比較的高額ですが、一冊1万円する医学書と比べれば安すぎるくらいですね。
買ったまま読まずに放置されている医学書を増やすくらいならば、サピエンス全史を買って当直のすき間時間に読破しましょう。
ヒトだけが抽象思考を獲得し、共同幻想によって巨大コミュニティを構築した
ホモ・サピエンスは7万年〜3万年の間に抽象思考能力を獲得します。
この「認知革命」によって、ホモ・サピエンスは身体能力で優れるネアンデルタール人よりも圧倒的な優位性を確保し、その後大きな発展を遂げていきます。
抽象思考を獲得したことにより、強い共同幻想をグループ全体として信じ合うことで、巨大なコミュニティの構築が可能になったのです。
この強力な共同幻想なくしては、大きなコミュニティを維持することができません。
例えば、ヒト以外の動物も群れを作ってグループで行動することがありますが、共同幻想無しにまとまりをもって協力し合えるのは150個体くらいが限界とされます。
狩猟採集民族の時代には人口爆発は起こりませんでしたが、狩猟採集民族から農耕民族にスイッチングする中で人口が急速に拡大します。
すると、コミュニティの統治に関する諸問題が発生しました。
ヒトは、貨幣、宗教や帝国といった「共同幻想」を集団全体で信じこむことで、数万人〜数十万人、現代国家では1億人以上の集団行動を可能としました。
全ては人類が長い歴史の中で作り上げてきた「虚構」であるという主張は今までにない視点で大変面白いものです。
国家も貨幣も株式会社も資本主義経済も全てが虚構である
ヒトの進化にとって、文字の発明が非常に大きなインパクトを持つのは言うまでもありません。
文字の発明の後、貨幣や宗教、帝国といった強力な共同幻想を武器に人類は急速に発展していきます。
日本人には無神論者が多いですので、宗教が「虚構」というのはイメージしやすいかもしれませんね。
しかし、宗教だけではなく、大勢の人がそれを信じ切ることで成り立っているものは全て「虚構」であるといえます。
つまり、今我々がどっぷり浸かっている国家も貨幣も株式会社も資本主義経済という仕組みも全てが「虚構」ということです。
その「虚構」をお互いに信じあう方がメリット性が大きければ自然に維持されるわけですね。
まぁしかし、強力な共同幻想をかかげて数万年をかけて75億人規模まで発展してきたわけですから、ヒトって本当にすごいなとただ感心します。
資本主義経済という「共同幻想」が行き詰った後、人類はどこへ向かうのか
テクノロジーの進歩が近現代の人類の発展に大きく寄与したことは間違いありません。
一方、核兵器の開発によって、人類は史上初めて自らの力で自らの種の存続を断ち切るパワーを持ちました。
科学はヒトの生活レベルを大きく向上させましたが、それが必ずしもヒトの幸福度と直結するわけではないというのは面白い主張です。
人間の幸福度というのが脳内物質の変化によってもたらされると考えるならば、物質的に満たされてはいる一方、常に大きな社会的ストレスに悩まされている現代人は、昔の人と比べて必ずしも幸福とはいえません。
また、資本主義社会という「共同幻想」が行き詰った後、人類はどこへ向かうのかについて、人工知能のことなどを絡めて著者独自の見解が述べられています。
まとめ
本を読んだのが1年以上前なのと、本の内容があまりに壮大すぎてまともなレビューができませんでした。
本書の内容に賛否両論あるとは思いますが、私にとっては非常に大きなインパクトをもたらす一冊だったことは間違いありません。
皆さん、ぜひ一度は読まれることをおすすめします。
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