おはようございます。
2017年9月末に、楽天・バンガード・ファンドからVT(全世界株式)とVTI(全米株式)を買い付ける投資信託2種が発売されました。
その2つと比べるとかなり地味な存在ですが、楽天バンガードの第3弾として楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天VWO)が発売されました。
初回の決算運用報告書が発表され、楽天VWOの実質コストが0.60%と判明しましたので、そのあたりも含めて分析します。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天VWO)を分析
本家VWOのベンチマークと経費率は?
VWOはバンガード社から発売されているETFで、正式名称はバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFといいます。
ベンチマークはFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ・インデックスで、新興国株式市場の主要銘柄に広く分散投資をすることが可能です。
VWOの経費率は0.14%で、新興国株式市場へ投資をする商品としては激安といってよい水準です。
VWOの構成国トップ10は?
VWOの国別構成比率のトップは中国で、3割近くを占めます。
これは今後しばらく揺らぐことはないでしょう。
中国に続く第2位は台湾で、中国とあわせて50%弱を占めることには注意しましょう。
VWOは新興国株式市場へ広く分散投資をする商品ですが、その半分近くは「東アジア」に投資する商品です。
私が個人的に期待しているインド、マレーシアやインドネシアなどの国もトップ10にランクインしています。
ベトナムにも期待していますが、こちらは入っていませんね。
これらの国に個別に投資しようとすると手間がかかったり、経費率が高くなりがちですので、VWO一つでまとめて分散投資できるのは大きな魅力です。
なお、一般的な「新興国株式」に投資する投資信託のベンチマークはMSCI・エマージング・マーケット・インデックスで、こちらは韓国を含むことが大きな特徴です。
韓国の構成割合は15%弱と比較的大きいため、中国・台湾と合わせると55%〜60%ものシェアを占めることになります。
個人的には、韓国を含まないインデックスの方が好みです。
VWOの構成銘柄トップ10は?
上位10銘柄を見てみますと、中国のIT・ネットサービスの雄、テンセントがNo.1です。
以下、中国や台湾、南アフリカの有力企業が名を連ねています。
銀行など金融系の占める割合が高いですね。
しかし、No.1のテンセントの占める割合ですら4.1%に過ぎませんから、広く分散されていることが見てとれます。
楽天VWOの信託報酬と実質コストは?
楽天・新興国株式インデックスファンドは、そもそもVWOを買い付けるだけのシンプルな商品ですので、VWOに魅力を感じる人が購入することになります。
楽天VWOの信託報酬と実質コストですが、
1) 信託報酬:0.2696%(VWOの0.140%+楽天証券の取り分 0.1296%)
2) 実質コスト:0.60%
となっています。
楽天バンガードの決算運用報告書が発表され、この楽天VWOだけでなく全体的に隠れコストが大きいという残念な結果となりました。
なお、既存の投資信託で新興国株式クラスに投資をする商品の大半は、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する商品です。
その中で、信託報酬が最安なのはeMAXIS slim新興国株式インデックスの0.20412%です。
隠れコストに関してはeMAXIS Slimシリーズの方が小さいことが予想されますので、残念ながら楽天VWOよりもeMAXIS Slim新興国株式インデックスの方がコスト面では優れていると言えます。
新興国株式市場への投資をどれだけ重視するか
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)へ投資をすれば、新興国株式市場にも10%程度投資をすることになります。
それ以上に新興国株式市場を今後の有望な投資先として考えるならば、VWOや楽天・新興国株式インデックスファンドが魅力的な投資先になるでしょう。
小型株まで含めて投資をしたい・韓国を含まないインデックスに魅力を感じるという人ならば楽天VWOを選ぶ理由がありますが、こだわりがない方はeMAXIS Slim新興国株式インデックスの方がよいでしょう。
VTをベースに個人の好みに応じてVTIやVWOを投資信託で買い足せる時代が来た
元々経費率に優れたバンガード社のETFを買い付けるファンドですので、商品自体が優れていることには間違いありません。
投資初心者の方は、どれを買うか迷ったらとりあえず楽天VTを購入しておけば、世界全体への分散投資が可能です。
投資を勉強していく中で、世界全体よりも米国市場単独の方が今後も高成長が期待できると信じられるようになれば、楽天VTIにシフトしていけばよいと思います。
また、「今後は新興国株式市場の成長に期待する!」と確信が持てるようになったら楽天VWOへシフトしていけばOKです。
投資に絶対的な正解はありませんので、勉強していく中で自分なりに納得ができるアセットアロケーションを見つけていきましょう。
まとめ
楽天VWOは商品コンセプトは非常に優れていますが、信託報酬の0.2696%という数字と比較して隠れコストが大きく、実質コストが0.60%と割高なのは残念な点です。
現状では、eMAXIS Slim新興国株式インデックスが優勢と言わざるをえないでしょう。
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楽天・全世界株式インデックスファンドは、VTを日本円で・少額から・毎月積立で購入できる点が大きな魅力です。本家VTよりは手数料が高くなりますが、魅力はあります。
楽天・バンガード・ファンドはつみたてNISAを強く意識した商品ラインナップになっていると思います。私もつみたてNISAで楽天VTIと楽天VTを購入しています。
ETFは投資信託と比べると購入するのが手間だと言う方が多いですが、SBIの外貨積立を利用すればドル転の部分の手間はほぼゼロにすることが可能です。為替コストもわずか2銭ですのでおすすめです。