こんにちは。
超少子高齢化社会を迎えるにあたって、医療費などの社会保障費は年々増大しており、日本の財政を大きく圧迫しているのは周知の事実かと思います。
個人的な意見としては、健康リスクの高低によって医療費負担をかえざるを得ないのではないか?と考えています。
所得や年齢だけでなく、健康リスクの高低によって医療費負担をかえたらどうか?
現状では、70歳未満の人は3割負担ですね。
70歳〜75歳は2割負担ですが、現役並の所得者は3割負担。
75歳以上は1割負担ですが、現役並の所得者は3割負担のまま。
つまり、後期高齢者に近づくにつれて自己負担率は下がるものの、高齢になっても現役並の所得を維持している方は3割負担のままという制度です。
誰でも高齢者になるにつれて病気を発症するリスクが上がることと、現代の最先端の医療というのは何かとお金がかかりますので、高齢者人口が増えるにつれて医療費は年々増大傾向です。
昭和58年までは高齢者の医療費は無料だったわけですが、そこから段階的に引き上げられて現在に至ります。
しかし、今後の日本の人口動態をみますと、現在の医療費負担のままでは国民皆保険制度を維持することは困難です。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年問題は深刻
有名な「2025年問題」というものがあります。
2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に到達するタイミングで様々な問題が発生するであろうと言われています。
・年金制度が破綻する可能性
・医療制度破綻の可能性
・労働力を移民に頼らざるを得なくなり、国内の治安が悪化
・認知症患者が国民全体の1割を超える
どこまで現実化するかは分かりませんが、こういった問題が発生しうるとされています。
普段神経内科医をやっていますと、高齢化に伴って認知症患者が急増しているというのは身をもって実感しますね。
健康診断の仕事をやって思うこと
体重100kgオーバーの重度肥満の方や運動習慣ゼロの方、1日40本喫煙しているといった方が結構な割合で受診されます。
問診票に「あなたは今の生活習慣を改善するつもりがありますか?」という項目があるのですが、
こういった方でも
「すでに改善に取り組んでいる」
「生活習慣を改善するつもりはない」
といった項目に◯をつけているケースがあります。
つまり、企業健診だから義務的に受診しているだけで、健康診断の結果を自分の健康増進のために活かそうという気が全くないわけです。
こういった健康リスクを抱える方々は、若年のうちは病気にかからずに済んでいるとしても、将来的になんらかの生活習慣病にかかる可能性が非常に高いです。
そして、生活習慣病の多くは慢性疾患ですので、何年にも渡って莫大な医療費がかかることになります。
民間の医療保険では非喫煙者の保険料は喫煙者と比べて安い
民間の医療保険では、非喫煙者保険料率を標準保険料率よりも安く設定している会社がいくつもあります。
また、高血圧やBMIなどの数字が正常範囲内に入っている人は優良健康体で保険料が割引される仕組みもあります。
非喫煙優良体型であれば、2割以上の値引きが受けられるケースが多いです。
民間の保険会社はビジネスですので、必ず彼らが儲かるように加入者の保険料はシビアに設定されています。
つまり、「喫煙者+非優良体型」の方は将来何かしらの疾患にかかって民間の医療保険を利用する可能性が高いからこそ保険料も割高に設定されるわけです。
国民皆保険制度を維持するためには健康リスクの高い人の医療費増はやむを得ないのでは?
私個人の意見としては、民間の医療保険と同様、国の医療制度にも健康リスクに応じた医療費負担増が必要だと考えています。
所得税は累進課税で高所得者ほど税率が上がる仕組みになっています。
これと同じで、健康リスクの高い方ほど病院を受診した時の医療費を増やすわけです。
100%遺伝性の疾患は別ですが、世の中のほとんどの病気は生活習慣など環境要因が発症に大きく関わっています。
日本の財政に余裕があれば上記のような提言は必要ないのかもしれませんが。。
こんな記事も書いています。
肥満だけでなく若年女性を中心とした痩せも健康リスクが高いことが知られています。
何事も程々が一番ということでしょうか。
外来をやっていても、健康意識の高い患者さんとそうでない患者さんの差は非常に大きいです。