神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が日々の気づきを書いていきます。ただそれだけですが、よろしく。

【iDeCoの出口戦略】退職手当の多い大企業や公務員のiDeCoの一時金受取が税制上不利になる理由

おはようございます。

当ブログの読者の方からiDeCoの出口戦略に関して下記のご質問をいただきましたので、私なりに回答させていただきます。

私は来年度に就職を控えており、ちゅり男様の投資関連の記事を愛読させていただいています。さて、本日ご連絡させていただいたのは、ちゅり男様が度々題材にあげているiDeCoについて要望があったからでございます。先日、ネットニュースにてiDeCoの一時金受け取りにおける退職所得控除のデメリットについての記事を読みました。そこでは大企業従業員や公務員は退職手当とiDeCoの一時金受け取りが重なると税制的に不利になる可能性があると書いておりました。ちゅり男様はiDeCoの運用上におけるメリットについてよく書かれておられたので、一時金受け取り時のことに対する記事も読んでみたいと思いました。 もしよろしければ、これらのことを記事にしていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

 

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iDeCoの出口では、退職手当の多い人ほど不利なのは間違いない

結論から言うと、60歳で定年退職の場合、iDeCoを60歳の時に一時金として受け取ると退職手当の多い方ほど不利になります。

どのような人が不利かを考える前に、どのような人にとって最も有利かを考えてみたいと思います。

有利になる要因を把握していれば、不利になる要因は自然と理解できるからです。

 

iDeCo医師のような高所得・転勤族には願ってもない制度

私が当ブログでiDeCoをゴリ押ししているのは、私自身がiDeCoによって最大級のメリットが受けられる属性だからです。

ポジショントークが入っていますので、若干その分を差し引いて考えていただいた方がよいかもしれません。

 

我々医師の多くは、医局人事によって数年に一回程度の転勤があることが多いです。

その都度わずかな退職金をもらえますが、逆に言えば、将来退職の時にまとまった金額の退職金をもらえる可能性が低いです。

そのため、iDeCoなどの個人年金制度を活用して自ら老後に備える必要性が高いです。

iDeCoは国が用意した個人年金制度ですから、民間の個人年金保険などに入るより優遇されています。

 

高額所得者になればなるほどiDeCoの所得控除の恩恵が大きい

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iDeCoにおいて、値上がり益に対する20.315%の税金が非課税になることはもちろんメリットですが、これだけならばNISAとかわりません。

私にとってiDeCoの最大のメリットは掛金が全額所得控除になる点です。

当然、所得税率が高い方が実際の節税額は大きくなります。

高額所得者ほど、同じ掛金でも毎年の節税額が大きくなるため、若いうちからiDeCoを始めれば始めるほど絶大な恩恵を受けることができます。

 

要するに、iDeCoが最も有利なのは、

・我々医師のように、転勤族で将来まともな退職金をもらえる見込みがない人

・高額所得者で、所得控除の恩恵を最大限に享受できる人(若い時から高給取りなら最高)

となります。

不利になるのは、その逆のケースを考えればOKですね。

 

退職所得控除は企業からの退職金と別枠でない点に注意したい

さて、ご質問の「大企業従業員や公務員のように会社の退職金が多額なケースで、iDeCoの一時金受け取りが重なると税制上不利になる理由」ですが、それは退職所得控除が企業からの退職金とiDeCoで別枠ではないからです。

退職所得控除は、勤続20年目までは年間40万円、21年目以上は年間70万円にアップします。

要するに、20年を超えて勤続年数が長くなればなるほど退職所得控除は一気に増えるわけですね。

 

勤続20年以上の場合、退職所得控除は下記の計算式で計算できます。

退職所得控除=40万円 x 20年 + 70万円 x (勤続年数 - 20年)

iDeCoの退職所得控除も同じ計算式で計算可能ですが、実際に適応されるのは両者のうち金額が多い方の片方のみです(要するに勤続年数か加入年数の長い方)。

 

35年間一箇所の会社で勤め上げ、iDeCoには加入していないケース

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例えば、25〜60歳まで35年間、一箇所の会社で勤め上げたケースでは、

退職所得控除=40万円 x 20年 + 70万円 x 15年 = 1850万円

となります。

退職金がこの金額を超えなければ、全額が退職所得控除されますので退職金に税金がかかりません。

仮に、この方の退職金が1800万円と仮定すれば、その1800万円に税金はかからないわけです。

 

この方がiDeCoを25年間加入していた場合

次に、この方がiDeCoに35歳から60歳まで25年間加入していたとしましょう。

分かりやすくするために、iDeCoの毎年の掛金を20万円と仮定します。

iDeCoの掛金は20万円 x 25年=500万円です。

運用益が200万円加わり、60歳時には700万円まで資産が膨れ上がっていたとします。

 

会社からの退職金(1800万円)+iDeCoの一時金(700万円)=2500万円です。

すると、2500万円 − 1850万円= 650万円の部分に税金がかかってきます。

幸い、退職金では退職所得は半分になりますので、325万円です。

これに所得税と住民税がかかります。

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所得税は、325万円 x 10% − 97500= 227500円です。

住民税は10%ですので、325万円 x 10% = 32.5万円です。

会社の退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取ることで、所得税+住民税で約55万円の税金の支払いが発生するわけです。

これが退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取るデメリットですね。

 

まとめ

会社からの退職金が多ければ多いほど、それだけで退職所得控除の枠を使い切ってしまう可能性が高くなります。

すると、iDeCoで積み上げてきた分にまともに課税されますので税制上不利になると言えます。

実際には、積み上げている最中の節税効果や、運用益がどの程度あるかにもよりますので一概に不利とは言い切れませんが、注意は必要ですね。

 

こんな記事も書いています。

iDeCoをこれから始める人のために、その活用法をまとめた記事です。3大ネット証券(SBI、楽天、マネックス)のどこかに口座を作るのがよいと思います。

www.churio807.com

 

iDeCoやつみたてNISAなどの非課税枠には、最も期待リターンの高い株式を配分すべきだと思います。

www.churio807.com