こんにちは。
先日、職場の友人からマイホーム購入に関する相談を受けましたので、私なりにアドバイスをさせていただきました。
私の医者仲間は、医者としては大変優秀な人が多いですし、それなりの収入を得ている人が多いのですが、金融リテラシーはそれに比例していません。
「マイホーム購入は不動産投資」という観点から、そのマイホーム購入の経済的合理性に関する意見を述べさせていただいたので、本日はその概要をご紹介します。
都心郊外の自然豊かな環境にマイホームを購入したいという夢を壊してしまった
その友人は夫婦ともにアウトドアが趣味であり、休日になれば遠方へキャンプや登山に出かけるのが趣味というアクティブな家族です。
子供の教育のためにも自然豊かな環境に移り住みたいと以前から考えていたようで、その夢を実現するためのマイホーム購入を検討しているとのことでした。
自然豊かな環境で子育てをすることは子供の成長のために悪くはありませんが、一般的に都心の方が優秀な教育を受けられる機会が多いのも事実だと思います。
まずはGoogle earthで大体の土地勘をつかむ
まずは、Google earthで彼らがマイホームを購入しようとしている地域の土地勘をつかむことから始めました。
当然、実際に現場を見に行く時間はありませんので、こういう時にgoogle earthは便利です。
なるほど。アウトドアが趣味な家族だけあって、かなり自然豊かな環境にマイホームを購入しようとしているようです。
自宅から車で10分も行けば山が広がり、田舎ならではの広大な土地の公園も車で10分圏内にあります。
しかし、資産形成という観点からはいただけません。
趣味のためにマイホームを購入してはならない(セカンドハウスならあり)、というのが私の持論です。
次に、最寄り駅までの距離と最寄り駅の乗降客数などのデータを調べる
さて、最寄り駅までは徒歩で10分程度の距離です。
まぁ駅近とは言えませんが、郊外にしては上出来な距離と言えるでしょう。
しかし、駅自体のスペックが問題です。
一日の乗降客数はわずか1000人程度で、普通列車しか止まらないようです(1時間に3〜4本)。
愛知県No1の名古屋駅のJR東海道本線の乗降客数が約38万人とのことですから、それと比べるとほぼ無人駅に等しいスペックです。
このように駅自体のスペック(集客性)に問題がある場合には、駅近ということになんの価値もありませんので注意が必要です。
その地域住民のほとんどは鉄道を利用していないということです。マイカーありきの土地柄だということが容易に推察されます。
周辺の公示地価を見てみると、大体4〜5万円/m2が相場の地域と分かった
大体の見積もりを聞かせてもらうと、35坪の土地に2階建ての規格住宅を建てて3000万円ほどとのことでした。
5万/m2の地価と仮定して、35坪ですと115m2になりますから、土地部分の価格が約500〜600万程度ということになります。
残りの約2400万円が建物部分の価格と考えてよいです。
えーっと、このブログを隅々まで読んでいただいている方なら30年後の資産価値が大体分かりますよね?
2400万円の建物部分の価値は30年でほぼゼロに等しくなります。
どう見てもこれから地価がアップする要素がない郊外地域ですから、地価は横ばいなら御の字、現実的には数割値下げといった所でしょう。
となると、30年後の資産価値は約400〜500万円程度まで下がる可能性があります。
まさに「負」動産としか言いようがないですね。
駐車場の借り手すら十分いない地域にマイホームを購入してどうするの?
マイホームを購入する時には、「その家を他人に貸した時にいくらくらいの賃料がつくか?」という視点を持つ必要があります。
賃貸に出した時に実際に客付けが可能な賃料水準によって、大外その物件の評価額というのは決まってくるのです。
その際、重要になるのが立地と物件スペックです。
これらは後から取り返しがつきません。
実際に友人が下見に行った時の周辺の月極駐車場の状況を聞いてみましたが、土地が余っており駐車場の借り手もいないとのことでした。
「駐車場の借り手すら見つからないような土地にマイホームを購入しても無意味」というのはこの世の常識です。
公共交通機関が発達しておらず、マイカー生活が前提の地域において、駐車場の借り手もつかないほど土地が余っているのは異常事態でしょう。
どう見ても今後発展する余地がありません。
万が一遠方に転勤になった時はその家どうするつもりなの?
職場は名古屋の都心で、通勤時間は1時間15分とのことでした。
夫婦共働きなのに、あえて職場まで1時間以上かかる場所に資産価値の低いマイホームを購入する。。
どMとしか言いようがありません(笑)
「万が一遠方に転勤になった場合にどうするつもりなのか?」と質問したところ、そのようなことは考えていなかったとのことでした。
一つの職場で定年まで勤め上げる世の中はすでに終わっています。
マイホームを購入する時には、万が一遠方に転勤になった時にその物件はすぐにお嫁に出せるかという視点が必要です。
方法はもちろん「貸すか売るか」です。
ただし、住宅ローンは購入者自身が居住することを前提に融資を受けていますので、厳密には他人に貸すことはできません。
仮に賃貸に出せると仮定しても、周辺環境を含めた物件スペック自体が低すぎるため、賃貸に出そうにもすぐに借り手がつきそうにありません。
売ろうにも数年後には購入時より大幅に評価額を下げ、大きなキャピタルロスが発生することでしょう。そもそも買い手が現れるか不明です。
このように、不動産を購入する時はいざという時の退路がちゃんと確保されているか、よく検討すべきです。
結論
翌日、その友人はマイホーム購入をやめました。
こんな記事も書いています。
マイホーム購入を資産形成の視点からとらえれば、正しい買い方というものが見えてきます。
上記のようなマイホームを購入してしまったとしたら、ハウジングプア一直線でしょう。